2001 Fiscal Year Annual Research Report
エストロゲン合成酵素欠損マウスを用いた骨粗鬆症の発症機構の解析
Project/Area Number |
13672305
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
宮浦 千里 東京薬科大学, 薬学部, 助教授 (20138382)
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Keywords | 骨粗鬆症 / エストロゲン / エストロゲン合成 / アロマターゼ / マウス / 骨 / テストステロン / 遺伝子欠損マウス |
Research Abstract |
閉経後骨粗鬆症は女性ホルモン(エストロゲン)の分泌低下に起因する。エストロゲンの主たる産生臓器は卵巣であるが、卵巣外組織でもエストロゲン合成が起こり、閉経後では卵巣外組織のエストロゲン合成量が血中エストロゲン値を左右している。そのエストロゲンレベルの違いは骨粗鬆症の発症を左右する。そこで、本研究では、エストロゲン合成酵素(アロマターゼ)の遺伝子欠損マウス(ArKOマウス)の骨組織を解析し、本症の発症機構を解析した。ArKOマウスおよび野生型(WT)マウスについて、子宮や精嚢腺など生殖器重量を測定した。また、4週齢、9週齢および32週齢の各々の週齢について、雌雄のマウスより大腿骨を採取し、骨組織を解析した。雌性ArKOマウスではエストロゲンが完全に欠乏した状態となっており、WTマウスに比して子宮重量が顕著に低下した。雄性マウスの精嚢腺は正常であり、その重量はWTマウスよりやや高値を示した。これは血中テストステロン値の上昇に起因すると考えられる。離乳直後の4週齢において、ArKOマウスは雌雄共に正常であり、骨密度はWTマウスと同様であった。9週齢のArKOマウスは雌雄共に大腿骨遠位部海綿骨の顕著な減少を認め、骨密度減少を示した。ArKOマウスの骨では雌雄共に、破骨細胞数の増加と骨吸収亢進を認め17β-エストラジオールの投与により雌雄いずれも正常化した。32週齢のArKOマウスは雌雄共に骨量低下を認め、骨粗鬆症を発症していたが、その骨量低下の程度は雄性マウスに比して、雌性マウスの方が顕著であった。この原因として、雄性ArKOマウスでは血中テストステロン値が高い為、エストロゲン欠乏による骨量減少の一部をアンドロゲンが補償している可能性が考えられる。本研究により、アロマターゼが欠失するとに、雌雄共に骨粗鬆症を発症すること、雌雄ともに骨量の維持にはエストロゲンが必須であることが明らかとなった。
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Research Products
(1 results)