2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13672306
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
田野中 浩一 東京薬科大学, 薬学部, 講師 (50188398)
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Keywords | 熱ショックタンパク質 / 心筋梗塞後心不全 / 心機能 / Hsp27 / Hsp72 / Hsp60 / ミトコンドリア / エネルギー代謝 |
Research Abstract |
ラット左冠状動脈を結紮することにより、心筋梗塞を誘発した。心筋梗塞後1および2週目は、Left vent ricular dP/dt(LV dP/dt)が低下し、Left ventricular end-diastolic pressure(LVEDP)が上昇するものの、心臓のポンプ機能を表すcardiac output index(COI)は維持されていた。一方、梗塞後8週目では、LVEDPがさらに上昇し、COIも低下していた。本研究では心筋梗塞後1および2週目を心臓の機能は維持されている代償期とし、8週目を代償機能が破綻し、心機能が低下する心不全期とした。 心筋梗塞後1週目では熱ショックタンパク質(Hsp)27と72が増加した。Hsp60およびHsp90量は変化しなかった。Hsp73量は増加する傾向にあった。梗塞後2週目になると、Hsp27は増加したままであったが、Hsp72は正常心臓レベルに戻った。心不全期の梗塞後8週目にはHsp27量も正常心臓レベルに戻ったが、Hsp60が増加した。 Hsp27およびHsp72は細胞質分画に存在し、Hsp60はミトコンドリア分画に存在した。Hsp72は、心筋梗塞後早期にその発現量が増加するものの、その高発現量は持続しないことが明らかにされた。Hsp27も心筋梗塞後早期からその発現量が増加するが、梗塞後2週目でも高い発現量を維持していた。これらの結果は、Hsp27およびHsp72が高発現する心筋梗塞後初期は心機能が代償機序により維持されるものの、その代償機序が破綻する心不全期にはこれらHspの発現誘導は消失することを示した。Hsp60はミトコンドリアに局在するストレスタンパク質の一種である。さらに、不全心では心筋ミトコンドリア機能が低下していた。これらの発見により不全心ではミトコンドリアへのストレス(障害)によりHsp60が増加することが示唆された。
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Research Products
(1 results)