2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13672309
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Research Institution | Meiji Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
大石 一彦 明治薬科大学, 薬学部, 講師 (80203701)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内田 幸宏 明治薬科大学, 薬学部, 教授 (90097197)
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Keywords | 平滑筋細胞 / 神経幹細胞 / 分化 / 収縮反応性 / 三次元培養 |
Research Abstract |
神経幹細胞より平滑筋細胞を分化誘導する系を確立し、この細胞を用いて作製した人工平滑筋組織標本の収縮機能を検討することで、平滑筋細胞の本来の機能である収縮機構に基づいて神経幹細胞由来の平滑筋発生の可能性を検討した。 ラット胎仔(E14)由来培養神経幹細胞を10%牛胎仔血清存在下、低密度で培養することで平滑筋細胞への分化を誘導した。また、このときの発現蛋白質を免疫染色法とRT-PCR法により解析した。神経幹細胞を高密度(1×10^5cells/cm^2)で培養すると、ほとんどの細胞でアストロサイトのマーカー蛋白質であるGFAPが発現していた。一方、低密度(2.5×10^3cells/cm^2)ではGFAPの発現がほとんど観察されず、平滑筋マーカー蛋白質であるα-smooth muscle actin、basic-calponinやミオシン重鎖アイソフォームのSMemb、SM1、SM2の発現が確認された。この低密度で分化誘導した平滑筋細胞をコラーゲンゲルに包埋して三次元培養することで紐状の再構成標本を作製した。この標本の等尺性収縮を測定したところ、高濃度カリウム(80mM)による脱分極や、アセチルコリン(100μM)やエンドセリン-1(20nM)に反応して持続性の収縮を発生した。一般に、脳細動脈は、ノルエピネフリン、セロトニン、アンジオテンシンIIに対してほとんど反応を示さず、高濃度カリウムやエンドセリンで強い収縮を示すことが報告されている。したがって、この標本は、むしろ脳細動脈に類似のアゴニスト感受性を有することが示唆された。また、アセチルコリンにより発生する等尺性収縮は、細胞内外のCa^<2+>に依存し、カルシウムチャネル阻害薬のニフェジピン、MLCK阻害薬のML-9、Rho-キナーゼ阻害薬のY-27632、dibutyryl-cAMP、8-Br-cGMPで抑制された。 以上のことより、神経幹細胞由来の平滑筋細胞は、種々の平滑筋のマーカー蛋白質を発現し、脳細動脈に類似のアゴニスト感受性や平滑筋の収縮様式を発揮することがはじめて明らかとなった。以上の結果は、神経幹細胞由来の脳血管平滑筋が存在する可能性を示している。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Oishi K, Ogawa Y, Gamoh S, Uchida MK: "Contractile responses of smooth muscle cells differentiated from neural stem cells"J. Physiol. (London). (in press). (2002)
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[Publications] Zhu M, Oishi K, Lee SC, Patterson PH: "Studies using leukemia inhibitory factor (LIF) knockout mice and a LIF adenoviral vector demonstrate a key anti-inflammatory role for this cytokine in cutaneous inflammation"J. Immunol.. 166. 2049-2054 (2001)
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[Publications] 大石一彦, 小川泰弘, 内田幸宏: "神経幹細胞から平滑筋細胞への分化誘導とその収縮-脳循環独自の調節機構は脳血管形成の特殊性によるのか-"日薬理誌. 118. 121-122 (2001)
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[Publications] 尾崎 博, 今泉祐治, 大石一彦, 小濱一弘: "ハイスループット薬理学:創薬における研究手法の効率化と大規模化"日薬理誌. 118. 187-196 (2001)
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[Publications] 大石一彦, 内田幸宏: "三次元培養した平滑筋細胞に再構築された緊張性収縮"血管医学. 2. 351-357 (2001)