2001 Fiscal Year Annual Research Report
血管内皮細胞の新規酸化LDL受容体群に対するリガンドの構造と生理機能の解明
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13672317
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
安達 栄樹 理化学研究所, 細胞生化学研究室, 先任研究員 (60291051)
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Keywords | 動脈硬化 / 酸化LDL / 血管内皮細胞 |
Research Abstract |
初期動脈硬化病巣に集積する泡沫細胞の形成には内皮細胞の傷害と内皮細胞の活性化が関与するというRossらの傷害反応仮説は広く受け入れられている。しかしながら傷害反応仮説において重要な役割を担う酸化LDLを認識する受容体についてはその存在が示唆されていたものの、ようやく最近、受容体のcDNAがクローン化されその実体が明らかになりつつある。内皮細胞の主要な酸化LDLの受容体であることが報告されているLOX-1、コラーゲンやトロンボスポンジン等の受容体として報告されてきたCD36、そしてアセチルLDLの取り込みを指標とした発現クローニングにより私共がクローン化したSREC(scavenger receptor expressed by endothelial cell)である。 SRECのアセチルLDLの取り込み活性に対する中和活性を持つモノクローナル抗体を用いた解析から内皮細胞にはSRECとは異る別のスカベンジャー受容体の存在が示唆された。そこで発現クローニングの手法により新たに2種類の受容体cDNAを単離した。そのうちの1つはHDL受容体として知られるCLA-1/SR-Blであった。内皮細胞のスカベンジャー受容体活性はHDLによって阻害されないことからCLA-1も内皮細胞の主要なスカベンジャー受容体とは考えられなかった。もう1つのcDNAは新規な受容体をコードしていた。新規受容体はその一次構造上の特徴からFEEL-1(Fasciclin, EGF, Lamin-type EGF and Link domain containing Scavenger Receptor)と命名したが、ドメイン構造から推定される蛋白質相互作用により細胞間や細胞間基質との接着やリンパ球のホーミングに関与することが示唆された。モノクローナル抗体を用いた解析により内皮細胞の主要なスカベンジャー受容体であることが示唆され、その機能を検討している。FEEL-1の細胞外ドメインとヒトlgG1のFc部分とのキメラ蛋白質を発現、精製することによりFEEL-1のリガンドの単離精製を行う目的でBaculovirusの発現系を用いて検討を行っている。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Fujioka, T., Kim, J.H., Adachi, H., Saito, K., Tsujimoto, M., Yokoyama, S., Ui, M.: "Further evidence for the involvement of insulin receptor substrates in epidermal growth factor-induced activation of phosphatidylinositol 3-kinase."Eur. J. Biochem.. 268. 4158-4168 (2001)