2002 Fiscal Year Annual Research Report
脳血管関門(BBB)の通過と体内半減期の延長を目ざしたBDNF徐放製剤の検討
Project/Area Number |
13672329
|
Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
五十嵐 理慧 聖マリアンナ医科大学, 難病治療研究センター, 助教授 (80202860)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 利明 旭硝子株式会社, 中央研究所, 研究員
武永 美津子 聖マリアンナ医科大学, 難病治療研究センター, 助手 (10236490)
|
Keywords | DDS / レシチン / BDNF / 修飾生理活性ペプチド / 細胞親和性 / MAPK / BBB |
Research Abstract |
臨床応用可能な神経系DDS製剤の開発を目指して脳神経細胞由来神経栄養因子(brain derived neurotrophic factor, BDNF)とレシチン誘導体を結合したレシチン化BDNF(PCBDNF)について作製し検討した。これまでC57BL/KSJ-db/dbマウスにおける薬理効果の著明に増強することを報告した。その薬理効果増強の機序を検討するために血中クリアランス、中枢神経系への集積について検討した。血中濃度についてはPCBDNF投与後は非修飾BDNFよりむしろ低濃度であった。また中枢神経系(脊髄、脳)への集積性はPCBDNFのほうが高い傾向が見られたが、予期していたほどではなかった。今年度は神経系PC12細胞を用いて細胞親和性を検討した。その結果PCBDNFはBDNFと比較して著明に細胞親和性が高く大過剰のBDNFの添加によっても置き換わらないことが判明した。 活性化MAPKの発現をウエスタンブロッテイングで追いかけたところPCBDNF添加細胞は持続的なMAPK活性化を示し、レシチン化によってBDNFに新たな機能が付加されていることが示唆された。持続的なMAPK活性化は細胞を分化の方向に誘導するとされており、これらが薬理効果の増強と何らかの関係を持つと考えている。今後細胞形態学的にも分化誘導活性を詳細に検討する予定であり、幹細胞の分化誘導活性に相関すれば非常に興味深い化合物になると考えられる。 また最適レシチン導入数の同定のために有機合成法で作製したPCBDNFについて結合部位と結合数を分析している。 さらに中枢神経系への効果を検討するために外傷性脊髄損傷モデルラットを作製しPCBDNFによる脊髄損傷回復効果を検討している。
|