2003 Fiscal Year Annual Research Report
脳血管関門(BBB)の通過と体内半減期の延長を目ざしたBONF徐放製剤の検討
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13672329
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Research Institution | St Marianna University, School of Medicine |
Principal Investigator |
五十嵐 理慧 聖マリアンナ医科大学, 難病治療研究センター, 助教授 (80202860)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武永 美津子 聖マリアンナ医科大学, 難病治療研究センター, 助手 (10236490)
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Keywords | DDS / レシチン / BDNF / 修飾生理活性ペプチド / 細胞親和性 / MAPK / BBB / p38 |
Research Abstract |
臨床応用可能な神経系DDS製剤の開発を目ざして脳神経細胞由来神経栄養因子(brain derived neurotrophic factor,BDNF)とレシチン誘導体を結合したレシチン化BDNF (PCBDNF)を合成し検討した。これまでC57BL/KSJ-db/dbマウスにおける摂食抑制効果が著明に増強すること、その原因が血中半減期の長さに起因するのではなく高い細胞親和性によることが示唆された。In vivoでの検討により中枢神経系への集積は高い傾向が見られた。神経系細胞であるPC12細胞を用いて活性化MAPKおよび活性化p38の発現をウエスタンブロッテイングで追いかけたところPCBDNF添加PC12細胞は持続的なMAPK活性化およびp38活性化を示し、レシチン化によってBDNFに新たな機能が付加されていることが示唆された。持続的なMAPK活性化および活性化p38は細胞を分化の方向に誘導するとされており、これらが薬理効果の増強と何らかの関係を持つと考えている。 また最適レシチン導入数の同定のために有機合成したPCBDNFについて結合部位と結合数を分析したところ、結合部位は平均的に導入され、平均導入数はBDNF一分子あたりおおよそ3分子のレシチン誘導体が結合していることが判明した。 さらに、外傷性脊髄損傷モデルラットにEB(ES(embryonic stem)細胞をレチノイン酸でパルスしたもの)を移植すると、後肢運動機能回復が見られるが、レチノイン酸処理後さらにPCBDNFで処理するとさらに高い回復効果が見られた。今後はPCBDNFがEBをどの種の細胞に分化するのか、またニューライトの生成がどのようになっているかを検討する予定である。
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