2001 Fiscal Year Annual Research Report
ディーゼル排出微粒子成分であるフェナントラキノンによる血管調節系の破綻
Project/Area Number |
13672340
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
熊谷 嘉人 筑波大学, 社会医学系, 助教授 (00250100)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮内 卓 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (60222329)
高野 裕久 国立環境研究所, 地域環境, 室長 (60281698)
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Keywords | ディーゼル排出微粒子 / キノン系化合物 / NO / 血管調節 / 循環器疾患 |
Research Abstract |
米国の疫学研究より、ディーゼル排出微粒子(DEP)を主要構成成分とするPM2.5の曝露と循環器疾患に起因する死亡率との間に正の相関性があることが報告されていが、DEP曝露による循環器疾患発症に係わるDEP成分については不明である。 一酸化窒素(NO)は生体内で血管調節に重要な役割を演じているおり、NO合成酵素(NOS)から産生される。我々はDEP成分であるフェナントラキノン(PQ)が神経型NOSの阻害剤であることを見出し、その阻害メカニズムを明らかにしている。そこで本研究では、PQのeNOS阻害効果とそれに起因する血管調節系の変動について検討した。 その結果、PQはeNOS活性を低濃度で阻害し(IC_<50>値=0.6μM)、その阻害強度は神経型NOSの約17倍であった。速度論的解析等より、PQのeNOS活性に対する阻害様式は神経型NOSのそれと一致した。ラット大動脈リングを用いて血管内皮依存性および非依存性弛緩作用を調べた。PQ(5μM)はアセチルコリンによる用量依存的な血管弛緩作用を有意に抑制した。一方、ニトログリセリンによる血管内皮非存在下での血管平滑筋弛緩作用に対しては、同条件下において影響を与えなかった。PQ(0.36mmol/kg)をラットに投与して血圧を観血的に測定した。PQ投与5分後から血圧が上昇した。対照群のラット収縮期血圧および拡張期血圧は90±10mmHgおよび63±8mmHgであるのに対して、PQ投与30分後でのそれぞれの血圧は有意に上昇した(収縮期血圧は126±21mmHg、拡張期血圧は75±13mmHg)。このような条件下において、血漿中NO酸化代謝物量を測定した。その結果、PQ曝露によりラット血漿中NO代謝物濃度は対照値の68%まで有意に低下した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Kumagai, Y. et al.: "Phenanthraquinone inhibits eNOS activity and suppresses vasorelaxation"Am. J. Physiol.. 281. R25-R30 (2001)
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[Publications] Taguchi, K., Kumagai, Y. et al.: "Phenanthraquinone affects endothelial nitric oxide synthase activity through modification of the thiol groups : An alternative inhibition mechanism"J. Health Sci.. 47. 571-574 (2001)
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[Publications] Kumagai, Y., Shimojo, N.: "Induction of oxidatives stress and dysfunction of nitric oxide-dependent vascular tone caused by quinones contained in diesel exhaust particles"J. Health Sci.. 47. 439-445 (2001)