2001 Fiscal Year Annual Research Report
CYP2B発現に異なる働きをするフェノバルビタールと副腎皮質ホルモンの調節機構
Project/Area Number |
13672341
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
根本 信雄 富山医科薬科大学, 薬学部, 教授 (10085631)
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Keywords | シトクロムP450 / CYP2B / 副腎皮質ホルモン / フェノバルビタール / 性ホルモン |
Research Abstract |
マウスにおいて雌特異的に発現する、P450分子種(研究対象はCYP2B9とCYP3A41及びCYP3A44)は、性依存性以外にも個体成長過程での変化が認められることから、発現に内分泌系が何らかの役割を果たしていることが予想され、性ホルモンと副腎皮質ホルモン(DEX)の関与については既に報告してきた。またCYP2BとCYP3Aは、フェノバルビタール(PB)やDEXによって誘導される代表的なP450分子種として知られている。PBやDEXは臨床薬として使われているので、これらによって起こる代謝酵素発現変動の機構について明らかにすることが必要である。本研究では、常在的及びホルモン、PBまたはDEX等による発現調節機構について解析を行い、本年度はCYP2B分子種について以下の結果を得た。 (1)PBとDEXによる異なる誘導:CYP2Bの誘導効果は、PBが肝臓でのみ誘導するが、DEXは腎臓でも顕著な誘導を起こし、しかも雄の方が高い発現をした。いずれの場合も、誘導量はCYP2B10>>CYP2B9であった。特にDEXは用量依存的にCYP2B9発現に抑制効果を示した。肝細胞初代培養系においては、DEX単独でCYP2B10の誘導があるが、PB単独での誘導はわずかで、DEXとの協同作用が必要であった。今後遺伝子レベルで両者の誘導機構の違いを調べる必要がある。 (2)性特異的な常在的発現の原因解析:精巣摘出や副腎摘出をするとCYP2B発現が亢進し、雄性ホルモンや副腎皮質ホルモンによるCYP2B9発現抑制作用が確認された。またエストラジオール投与でCYP2B9の誘導発現が認められたが、卵巣摘出しても発現レベルに変動がなかったことから、CYP2B9発現には性ホルモン以外の経路の可能性が示唆された。 (3)CYP2B9の発現調節領域を解析するために、遺伝子5'上流域約2.4kbの単離に成功した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Jarukamjorn K, Sakuma T, Yamamoto M, Ohara A, Nemoto N.: "Sex-associated expression of mouse hepatic and renal CYP2B enzymes by glucocorticoid hormones"Biochem Pharmacol. 62. 161-169 (2001)
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[Publications] Sakuma T, Honma R, Maguchi S, Tamaki H, Nemoto N.: "Different expression of hepatic and renal cytochrome P450s between the streptozotocin-induced diabetic mouse and rat"Xenobiotica. 31. 223-237 (2001)
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[Publications] Yamamoto M, Sakuma T, Ichimaru H, Nemoto N.: "Localization of estradiol-responsive region in the phenobarbital-responsive enhancer module of mouse Cyp2b-10 gene"J Biochem Mol Toxicol. 15. 76-83 (2001)
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[Publications] Akiyoshi S, Ishii M, Nemoto N, Kawabata M, Aburatani H, Miyazono K.: "Targets of transcriptional regulation by transforming growth factor-beta : expression profile analysis using oligonucleotide arrays"Jpn J Cancer Res. 92. 257-268 (2001)