2001 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳動物における重金属、特にカドミウムとマンガンの輸送機構に関する研究
Project/Area Number |
13672344
|
Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
姫野 誠一郎 北里大学, 薬学部, 助教授 (20181117)
|
Keywords | カドミウム / マンガン / 輸送体 / 耐性細胞 |
Research Abstract |
本年度は、CdとMnの毒性、蓄積の相互作用が認められる組織、細胞の検索を中心に検討を行った。マウスにCdを皮下投与すると、24時間後に血漿中GPT活性が顕著に上昇し、精巣に強い出血が観察される。しかし、Mnの同時投与により、血漿中GPT活性はほぼコントロールレベルまで抑制され、精巣出血もほとんど認められなくなった。肝臓中、精巣中のCd、Mn濃度の変化を調べた結果、MnによるCdの急性毒性の抑制は、組織中金属濃度の変化では説明が困難であることがわかった。一方、Cd投与による精巣出血は、Mnのみならず、Coの同時投与によっても抑制されたので、CoがCdの取り込みを阻害するかどうかについても今後検討する必要がある。一方、マウス、ラット、モルモットの3種の動物種にCdを飲水から与え、同時に飲水から与えたMnがCdの蓄積に影響を及ぼすかどうかを検討したところ、モルモットの場合のみ、CdとMnを同時に摂取した群の腎臓中Cd濃度が、Cd単独投与群より顕著に少なくなっていた。また、モルモットにおいては、Cd摂取によって、腎臓中Mn濃度が減少した。従って、モルモットの腎臓へのCdの取り込みはMnによって抑制され、逆にMnの取り込みは、Cdによって抑制されることがわかった。さらに、MT欠損マウス由来の繊維芽細胞に様々な濃度のCdとMnを添加し、Cdの細胞毒性を検討した結果、Cdの細胞毒性は同時に添加したMn濃度に依存して抑制された。また、マウス繊維芽細胞へのCdの蓄積はMnの添加量に依存して減少したことから、Cdの細胞への取り込みがMnによって阻害されたためにCdの細胞毒性が抑制されたものと考えられる。 次年度以降に、モルモットの腎臓、およびマウスの繊維芽細胞において発現している遺伝子の中から、Cd/Mnの輸送体の同定を行う予定である。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] S.Himeno: "Application of metallothionein null cells to investigation of cadmium transport"J.Inorg.Biochem.. 88. 207-212 (2002)
-
[Publications] S.Himeno et al.: "Cellular cadmium uptake mediated by the transport system for manganese"Tohoku J.Exp.Med.. (in press). (2002)