2001 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の在宅ターミナルケア(在宅終末期医療)が成立する条件とその現状―質的研究法を用いた検討―
Project/Area Number |
13672362
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
瀬戸 信二 長崎大学, 医学部, 助教授 (00136657)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢野 捷介 長崎大学, 医学部, 教授 (50039864)
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Keywords | 在宅医療 / ターミナルケア / 老年者介護 / 質的研究法 |
Research Abstract |
(目的)高齢者の在宅ターミナルケアの積極的な推進を支援する方策を模索するため、その現状と成立する条件を「介護当事者」の視点より具体的に検討した。 (対象・方法)高齢者在宅ターミナルケアを実践された家族・介護者より面接に協力していただける方を募集し、semistructured interview法による面接調査を行った。インタビューは、基本的ADL、手段的ADL、認知能、ムード、コミュニケーション、社会的環境(家庭環境、介護者、支援体制など)、症状所見について基本的な質問を行いながら、その内容をふくらませていき、現状の具体的な認識、また、現実にどのような要因が推進あるいは阻害要因になっているかなどについての把握に努めた。 (結果ならびに考察)50分-90分間のインタビューを計5例に実施できた。インタビューできた例の介護者はすべて女性で、内4例は介護開始年齢が60歳以上であり、介護年数は平均5.4年だった。被介護者は女性3例、男性2例で、被介護開始年齢は平均85歳と高齢であった。いずれも安定した経済状態の家庭であり、介護者は楽天的でテキパキとした性格が多かったが、男性家族のサポートは少なかった。一方、かかりつけ医や訪問看護婦とのアクセスは良好で、入退院を繰り返すことが可能であったり、訪問介護、特に入浴や清拭のヘルプ、が充実していた。デイケアの利用はあまりなされていなかったが、補助具利用へのアクセスは良かった。被介護人の病態については、徐々に寝たきりになる症例が大部分で、比較的末期まで上肢の運動能力や嚥下能力が残っており、コミュニケーションもとれる例が多かった。今後、症例を重ねることにより、具体的な支援策を指し示すことも可能になると思われた。
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