アンチセンスオリゴヌクレオチド遺伝子治療適正化を目的とした血漿中濃度推移解析

2002 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 13672386
• Research Institution: KOBE UNIVERSITY
• Principal Investigator: 奥村 勝彦 神戸大学, 医学部附属病院, 教授 (60025707)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 竹島 泰弘 神戸大学, 医学部附属病院, 助手 (40281141) ; 栄田 敏之 神戸大学, 医学部附属病院, 助教授 (00304098) ; 松尾 雅文 神戸大学, 医学部, 教授 (10157266)
• Keywords: 筋ジストロフィー / 遺伝子治療 / アンチセンス / 血中濃度 / HPLC / リアルタイムPCR

Research Abstract

平成13年度では、HPLC法およびリアルタイムPCR法を用いたアンチセンスODN測定系に関する基礎的検討を行った。本年度では、更に改良を加えて、製剤中および血漿中のアンチセンスODN濃度測定系を確立した後、製剤安定性に関する評価を行った。
1.リアルタイムPCR法では、Tm値の高いアンチセンスODNの場合、再現性が低く、線形性が悪かったが(r<0.02)、PCR反応液の組成およびPCR反応条件を変更することによって、これらは改善された。(r=0.747,0.05-10μM)
2.HPLC法によるアンチセンスODN血漿中濃度測定において、血漿からのアンチセンスODNの抽出率を向上させるため内標準物質としてアンチセンスODNに対して相補的な配列を含んだODNを用いた。その結果、血漿からのアンチセンスODNの抽出率は、90%以上になり再現性も良好であった。また本抽出法は、従来行われているフェノール抽出と比較して簡便かつ高感度であった(測定限界値:0.5μg/ml)。
3.アンチセンスODN投与製剤(10mg/ml:生理食塩水溶液)の室温保存中、冷所保存中および凍結保存中における製剤の安定性を確認したところ遮光下冷所保存で5ヶ月間安定であった。また溶解液に蒸留水、Tris-EDTA緩衝液、5%ブドウ糖液を用いた検討を行ったところ、製剤は調整後24時間安定であった。また、非遮光下での保存ではアンチセンスODNの分解物が確認された。
以上の結果より、簡便かつ高感度なアンチセンスODN測定形が確立できた。本測定系によって、製剤安定性の評価ならびに血漿中濃度モニタリングが行えることからアンチセンス遺伝子治療を行う上で、本結果は非常に有用であると考えられる。