2001 Fiscal Year Annual Research Report
排尿障害治療薬、特に排尿反射強化薬の開発を指向した排尿反射の中枢機序の解明
Project/Area Number |
13672392
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
高濱 和夫 熊本大学, 薬学部, 教授 (80150548)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 英明 熊本大学, 医学部, 教授 (90106906)
白崎 哲哉 熊本大学, 薬学部, 助教授 (30264047)
|
Keywords | 排尿障害 / 排尿反射 / グリシン受容体 / Z-グリシナミド / デキストロメトルファン / シストメトリー / 膀胱収縮 / ラット |
Research Abstract |
これまでに、強力なグリシン受容体ブロック作用をもつ鎮咳薬デキストロメトルファンが膀胱の反射性律動性収縮を抑制し、グリシンのプロドラッグのz-グリシナミドは濃度依存的に律動性膀胱収縮を増加させることを明らかにした。平成13年度に交付された本科研費により、z-グリシナミドおよびDMの排尿反射の各成分に対する作用を体重250-300gのS.D.雄性ラットを用い、ウレタン麻酔下にシストメトリー法でしらべた。また、DMの作用はシングルシストメトリー法で検討した。【実験成績】(1)Z-グリシナミド100mg/kgの腹腔内投与により、排尿潜時、排尿流速および排尿閾値はコントロールを1としたとき、それぞれ0.51±0.07、0.48±0.11および0.36±0.10に有意に短縮もしくは減少した。一方、尿道抵抗およびコンプライアンスはそれぞれ2.62±0.54および1.98±0.47に増加、最大膀胱内圧は影響を受けなかった(1.21±0.11)。(2)DMは排尿潜時を5.08±0.80分から8.09±1.05分へと著しく延長させ、膀胱容量を0.54±0.08mlから0.86±0.11mlへと増加させた。これらの作用は投与直後から観察され、30分から1時間以上持続した。これらの成績から、膀胱コンプライアンスは影響されないことがわかった(0.53±0.07→0.47±0.05)。排尿閾値、膀胱内圧、排尿流速および尿道抵抗その他のパラメータに対する影響は、連続CMGの場合と同様であった。以上の成績から、(1)デキストロメトルファンは尿道抵抗の上昇および膀胱容量の増大を惹起し、蓄尿障害治療に有効である可能性が示唆された。(2)グリシン神経系は脊髄および脳幹レベルで排尿反射に関与している可能性が示唆された。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] 岡部裕一, 丸山 格, 山本 巌, 副田二三夫, 白崎哲哉, 高濱和夫: "排尿反射の中枢内神経伝達機序に関する研究の-グリシンおよび関連物質排尿反射に対する作用-"日本薬理学雑誌. 119・No.3. 20 (2002)
-
[Publications] 高濱和夫, 白崎哲哉: "排尿反射と5-HT_<1A>およびグリシン受容体"日本薬理学雑誌. 118・No.1. 73 (2001)