2002 Fiscal Year Annual Research Report
抗血小板剤の血小板凝集抑制作用とその評価マーカーとしてのP-セレクチンの有用性
Project/Area Number |
13672395
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
山田 勝士 鹿児島大学, 医学部附属病院, 教授 (00037491)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂田 隆造 鹿児島大学, 医学部, 教授 (20325781)
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Keywords | 冠動脈バイパス術 / アスピリン / アトルバスタチン / sP-セレクチン / トロンボキサンB2 / PATI値 |
Research Abstract |
研究代表者は,本年度から当院第二外科を受診した狭心症で冠動脈バイパス術を予定した患者を対象に,抗血小板剤アスピリンと高脂血症治療剤アトルバスタチン併用による冠動脈バイパス術後の血小板機能改善効果について検討を開始した.対象症例は封筒法によりアスピリン単独投与群とアスピリンとアトルバスタチン併用群の2群に分類した.この研究は当院臨床研究倫理委員会で承認を得ており,また対象患者に対し本研究のインフォームドコンセントを行い,同意書を得ている.今回は,術後7日目まで追跡できた25例の成績をまとめた. 採血は,術前,術後1,3,5,7,14日目に行った.血小板凝集能は,Screen filtration pressure法を用いた全血血小板凝集および比濁法を用いた多血小板凝集で各々評価した.放出反応は,多血小板凝集惹起後の上清中のsP-セレクチンおよびトロンボキサンB2濃度をELISA法で測定することにより検討した.循環血液中のこれらの分子の経日的変動についても検討した.総コレステロールおよび中性脂肪についても検討した. 外来初回受診時の全血血小板凝集のPATI値は,服薬中止後7日以上経過した手術当日の値に比して高値であった.外来受診時の血中のsP-セレクチンおよびトロンボキサンB2濃度が手術当日に比して低かった.すなわち,抗血小板剤を服用している狭心症患者では血栓形成抑制効果が発揮されていた.術後7日目には,PATI値が手術当日に比して上昇しており,血小板凝集抑制効果が認められた.また,血中のsP-セレクチンおよびトロンボキサンB2濃度は術後7日目に低下した.総コレステロールおよび中性脂肪は術後14日目に低下する傾向を示した.アスピリン単独投与群とアスピリンとアトルバスタチン併用群で血小板機能改善効果に差異があるか否かについては,今後症例を増やし,明確にしていきたいと考える.
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