2001 Fiscal Year Annual Research Report
ネフローゼ患者リンパ球の免疫抑制剤感受性に及ぼす血清脂質の影響とその臨床的意義
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13672402
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
平野 俊彦 東京薬科大学, 薬学部, 助教授 (90173252)
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Keywords | 末梢血リンパ球 / 薬物感受性 / 免疫抑制薬 / 血清脂質濃度 / LDL受容体 / シクロスポリン / トリグリセリド / ネフローゼ症候群 |
Research Abstract |
ネフローゼ患者末梢血リンパ球のシクロスポリン(CsA)感受性と、薬物の治療効果との関連を、20名の患者を対象として検討した。末梢血から常法により分離したリンパ球のCsA感受性を、マイトゲン応答性増殖を50%抑制する薬物濃度(IC50)として求めた。患者毎に各々の薬物のIC50を算出し、患者間でその差やばらつきを検討した。CsAのIC50には患者間で大きなばらつきが認められ、また10例の健常者と比較すると、患者の方がリンパ球感受性が有意に低かった(p<0.05)。次に、蛋白尿の減少率や尿蛋白が陰性化するまでの期間で示されるCsAの治療効果と、リンパ球の薬物感受性との関連を検討した。これらのCsA治療効果の臨床的指標は、いずれもCsAのIC50と有意な相関を示した(p<0.05)。更に、ネフローゼ患者リンパ球のCsA感受性と、薬物投与前の血清総コレステロール値、LDLあるいはHDLコレステロール値、および中性脂肪値との関連を調査した。CsAのIC50値は、血中トリグリセリド濃度と有意な相関を示した(p<0.05)。一方、リンパ球のLDL受容体発現率とCsAのIC50値との間には、現在のところ相関は見られていないが、この場合検討した患者数がまだ少ないことから(n=9)、次年度に欠けて更に検討する必要があると思われた。
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