2002 Fiscal Year Annual Research Report
ネフローゼ患者リンパ球の免疫抑制剤感受性に及ぼす血清脂質の影響とその臨床的意義
Project/Area Number |
13672402
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
平野 俊彦 東京薬科大学, 薬学部, 助教授 (90173252)
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Keywords | 末梢血リンパ球 / 薬物感受性 / 免疫抑制薬 / CD3陽性細胞 / LDL受容体 / シクロスポリン / T細胞 / ネフローゼ症候群 |
Research Abstract |
微小変化型ネフローゼ症候群(MCNS)患者27例の末梢血リンパ球のシクロスポリン(CyA)感受性を調べ、リンパ球の幼若化に対するCyAのIC50の範囲が0.002〜55.9ng/mlに及ぶことを明らかとした。これら27例におけるCyAのIC50の中間値は9.1ng/mlであり、この値を境として感受性の比較的良好な群と感受性の低い群とに患者を大きく分けることが可能と思われた。 末梢血単核細胞(PBMC)のうち抗CD3抗体で染色される細胞群(T細胞群)を標的とした、LDL-受容体(LDL-R)発現率の測定法を開発した。この測定法を用いることにより、健常者12例およびMCNS患者10例のPBMCにおけるCD3陽性細胞上のLDL-R発現率を測定した。しかし、LDL-R発現率が低下するとCyAの抑制効果も減弱するような傾向は、健常者と患者のいずれにおいても認められなかった。このことから、MCNSにおけるPBMCのCyA感受性の個人差にLDL-R発現率の個人差が関与する可能性は低いと考えられた。なお、PBMCへの^3H-CyAの取り込み量とCyAのIC50との間にも、有意な相関は見られなかった。 以上の知見より、CyAの免疫抑制作用の個人差がTリンパ球のLDL-R発現率の個人差に基づくCyAの取り込み量の個人差によって生ずるものではないことを示唆した。次年度は、各種血清脂質濃度とCyAのPBMC幼若化抑制作用との関連をより詳細に探ると共に、PBMCにおけるLDL-R以外の因子、例えばカルシニューリン活性やサイトカイン産生量、あるいはサイトカイン受容体などの個人差について検討を加える予定である。
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