2001 Fiscal Year Annual Research Report
アルツハイマー病の動物モデルに関する分子薬理学的研究
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13672407
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
岩崎 克典 福岡大学, 薬学部, 助教授 (10183196)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三島 健一 福岡大学, 薬学部, 助手 (00320309)
藤原 道弘 福岡大学, 薬学部, 教授 (10091331)
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Keywords | アルツハイマー病 / β-アミロイド / 脳虚血 / 空間認知記憶 / アポトーシス / ラット |
Research Abstract |
アルツハイマー病における老人斑構成成分であり本病の原因物質の1つであるβ-アミロイドの活性フラグメント(Aβ1-42)を用いてin vitroならびにin vivoの系で実験モデルを作成し、薬物の作用評価を行った。(1)ラット胎児海馬の初代培養細胞(7DIV)を用いて6時間の低酸素負荷(5%hypoxia)を行いAβ1-42の25〜50μMを培養液中に処置したところ、48時間後に濃度依存的なアポトーシスによる細胞消失が認められた。これに対してNMDA受容体拮抗薬であるMK-801の処置は抑制作用を示さなかったが、AMPA受容体拮抗薬であるCNQXを処置すると著明な抑制作用を示した。さらに、脳代謝改善剤であるibudilastを処置しても同様の抑制作用が認められた。(2)8方向放射状迷路課題を用いて訓練を行い空間認知記憶を獲得させたラット(Wisteria♂)を用い、10分間の全脳虚血を施した後、血流再開から7日間に渡りAβ1-42の600pmol/dayを脳室内に微量注入すると、7日後の再生試行時に著明な空間認知記憶の障害が認められた。この時、海馬のCA1領域には著明なアポトーシスが認められた。これに対し、現在アルツハイマー病に臨床応用されているdonepezilを再生試行前に3mg/kg経口投与したところ著明な改善作用を示した。また、ibudilastの10mg/kgを血流再開後から1日1回7日間経口投与したところ、同様の改善効果が認められた。以上のことから、脳の微小循環障害(脳卒中等)の病歴のある患者のアルツハイマー病の発症に着目した新しくかつ簡便な細胞モデルおよび動物モデルが完成した。本モデルの細胞ならびに記憶障害にはAMPA受容体を介したアポトーシス誘発の機序が深く関わること、また、本モデルはアルツハイマー病による痴呆症の治療薬の探索ならびに薬効評価に有用であることを示唆した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Hatip-Al-Khatib I, Mishima K, Iwasaki K, Fujiwara M: "Microdialysates of amines and metabolites from core nucleus accumbens of freely moving rats are altered by dizocilpine"Brain Research. 902. 108-118 (2001)
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[Publications] Palacino JJ, Murphy MP, Murayama O, Iwasaki K, Fujiwara M, Takashima A, Gold TE, Wolozin P.: "Presenilin 1 regulates beta-catenin-mediated transcription in a glycogen synthase kinase-3-independent fashion"Journal of Biological Chemistry. 276. 38563-38569 (2001)