2001 Fiscal Year Annual Research Report
鎮痛及び抗炎症機能を示す新規内因性物質spinorphinによる血管新生の制御
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13672410
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
島村 眞里子 財団法人東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 主任研究員 (00124462)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
羽里 忠彦 財団法人東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 副参事研究員 (60109949)
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Keywords | 血管新生 / spinorphin / 鎮痛作用 / 抗炎症作用 / 鶏卵漿尿膜 / 血管新生阻害 / 血管内皮細胞 / ブラジキニン |
Research Abstract |
血管新生は、固形腫瘍、糖尿病性網膜症、関節リューマチ、炎症等の難治性疾患に必須な過程であり、その病因、病態の悪化に密接に関与している。これらの疾病では効果的な治療法が少なく、強力で特異的な血管新生阻害物質は有力な治療薬となる可能性が期待できる。申請者は、中枢神経系の疼痛制御物質としてウシ脊髄から単離、命名し、末梢性疼痛に対する鎮痛作用や炎症作用を抑制する新規生理活性物質spinorphin(LVVYPWT)が、鶏卵漿尿膜を用いた血管新生を濃度依存的に阻害することを見出した。本研究ではspinorphinとその誘導体を用いて、鎮痛および抗炎症作用を持つ、新しい強力な血管新生阻害物質の探索を行う。 Spinorphinは上述の如く7個のアミノ酸からなるペプタイドでアミノペプチデースによって分解される。今年度はspinorphinの分解を抑制する酵素阻害物質との併用実験を行い、鶏卵漿尿膜上で強度な血管新生阻害効果を示すことを明らかにした。っぎに血管新生の阻害機序を明らかにするため血管内皮細胞の増殖に対する作用を検討したところ、影響はなかった。一方、spinorphinはブラジキニン誘発の末梢性疼痛に対する鎮痛作用を表すことから、ブラジキニン受容体(BKR)の拮抗物質である可能性が考えられ、BKR1とBKR2の2種の受容体の既知拮抗物質について血管新生阻害作用を検討した。既知拮抗物質は阻害作用が認められたが、spinorphinはBKRとは結合しないことが明らかになり、ブラジキニン受容体(BKR)の拮抗物質では無いことが解った。現在、血管新生の各ステップをin vitroで再現した実験系を用いspinorphinの血管新生作用機序を検討中である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Shimamura, M et al.: "Inhibition of angiogenesis by humulone, a bitter acid from beer hop"Biochem. Biophys. Res. Commun.. 289. 220-224 (2001)
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[Publications] Yamamoto, Y., Shimamura, M.et al.: "Current Protein and Peptide Sciences"Spinorphin as an Endogenous Inhibitor of Encephalin-degrading Enzymes : Roles in Pain and Inflammation(in press). (2002)