2002 Fiscal Year Annual Research Report
プロテインチップ法による消化器系悪性腫瘍の新たな診断マーカーの開発
Project/Area Number |
13672413
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
野村 文夫 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (80164739)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朝長 毅 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (80227644)
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Keywords | プロテオーム / プロテインチップ / 飲酒のマーカー |
Research Abstract |
ゲノムに対応する用語としてプロテオームが定着し、網羅的プロテオーム解析の手法も急速に進歩している。プロテオーム解析法としてはタンパクの2次元電気泳動法が最も広く利用されているが、我々は、SELDI(Surface enhanced laser adsorption/ionization)を利用したプロテインチップテクノロジーを導入し、検討を進めている。 現在、原発性肝細胞癌、膵癌、大腸癌患者組織、血清を行っている。また習慣飲酒が種々の発癌を促進することを念頭に、アルコール代謝関連酵素の遺伝的多型と発癌のリスクとの関連に関する研究および飲酒の新たな生化学的マーカーを検索する目的で、断酒目的で入院したアルコール依存症患者計16名の入院時、断酒1週間後、3ヶ月後の血清検体を用いた。プロテオーム解析は表面増強レーザー脱離イオン化(SELDI)と飛行型質量分析計(TOF-MS)を組み合わせたプロテインチップシステム(米国Ciphergen社)を用いた。すなわち、金属イオン、疎水性、イオン交換などのケミカルプロテインチップ上に捕捉されたタンパク質をパルスレーザーの照射によりチップ表面から脱離イオン化させた後、質量分析法により、イオン強度と質量数を測定した。SELDI TOF-MSによる解析の、結果、断酒後経時的に増減するピークを多数認めたが、過半数の症例において共通して変化するピークは3つであった。その変化はγ-GTPのいわゆるノンリスポンダーにおいても認められた。培養上清、臨床検体などに存在するタンパク質を網羅的に解析する方法として近年プロテインチップテクノロジーが登場し、新規腫瘍マーカーの探索などに利用されている。今回、断酒目的で入院したアルコール依存症患者血清のプロテオーム解析の結果、新規飲酒マーカーの複数の候補を見出した。プロテインチップ実験の至適条件を目的とするピークの精製に利用できるので、現在候補タンパクの精製・同定を進めている。
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[Publications] Odaka T, Yamaguchi T, Koyama T, Saisho H, Nomura F: "Evaluation of the Helicobacter pylori stool antigen test for monitoring eradication therapy"Am J Gastroenterol. 97. 594-599 (2002)
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[Publications] Itoga S, Nomura F, Makino Y, Tomonaga T, Shimada H, Ochiai T, Iizasa T, Baba M, Fujisawa T: "Tandem repeat polymorphism of the CYP2E1 gene : an association study with esophageal cancer and lung cancer"Alcoholism Clin Exp Res. 26. 15S-19S (2002)
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[Publications] Shimada H, Ochiai T, Nomura F: "Titration of serum p53 antibodies in 1085 patients with various cancers A multi-institutional analysis by Japan p53 antibody research group"Cancer. 97. 682-689 (2003)
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[Publications] Nomura F, Itoga S, Uchimoto T, Tomonaga T, Nezu M, Shimada H, Ochiai T: "Transcriptional activity of the tandem repeat polymorphism in the 5'-flanking region of the human CYP2E1 gene"Alcoholism Clin Exp Res. (in press).
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[Publications] 野村文夫: "遺伝子診断の今後の展望"検査と技術. 30. 1177-1180 (2002)