2001 Fiscal Year Annual Research Report
明確な凝固因子抗体産生を伴わない循環抗凝血素陽性の出血傾向症例の解析―特にLC/MSを用いた抗リン脂質抗体との関連について―
Project/Area Number |
13672435
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
小宮山 豊 関西医科大学, 医学部, 講師 (40140264)
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Keywords | 循環抗凝結素 / ループスアンチコアグラント / 出血 / 液体クロマトグラフィー / 質量分析 / リン脂質 |
Research Abstract |
本研究の目的は、最近経験した原因不明の出血症状を示す患者の原因を明らかにし、後天性出血性疾患概念の一部を明らかにすることである。本症例は、一般の抗凝固因子抗体がなく、明確な出血症状を呈し、血栓傾向との兼ね合いで注目されている抗リン脂質抗体が存在する可能性がある独特の症例である。現状では世界的にも、抗リン脂質抗体に関して構造面からの解析は臨床例では殆んどなされていない。液体クロマトグラフィー/質量分析(LC/MS)を用いた詳細な定性分析で、その本体を明らかにするとともに、他の循環抗凝血素陽性症例などの出血傾向との関連を比較検討すべく検討を進めている。 本年度始めより検討した結果、本患者血液より分離したIgG結合カラムへの吸着物質を検討する過程で、IgGのFc部分を排除し、Fab部分で検討する必要があることが明らかとなった。その結果患者IgG-protein Aカラムを作成し、結合物の検索が可能となった。現在、ESI、APCI両システムでのtuningなどLC/MS系の確立を進めている。また、本年新たに強力なループスアンチコアグラント(LA)を有し、接触相や第IX因子に異常低値があり、手術を控えた患者を発見した。患者APTTは100秒を超え、FDPD-dimerや梅毒検査など様々な免疫化学的測定法に影響を及ぼすリン脂質系の抗体が存在する可能性が高い。現在患者の協力を得、本患者についても同様に検討すべく準備を進めている。さらに、他大学との共同研究の症例であるが、自己免疫的機序が著しくLAが検査に影響した重症筋無力症患者についても検索しえたので、比較検討のため報告した。
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Research Products
(1 results)