2001 Fiscal Year Annual Research Report
日常検査の潜在的な情報を利用した、臨床検査値の加齢変化の解析
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13672437
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
市原 清志 川崎医科大学, 医学部, 助教授 (10144495)
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Keywords | 臨床検査 / 基準範囲 / 基準個体 / 加齢変化 / データマイニング / 潜在基準値抽出法 / 潜在異常値除外法 / 多変量解析 |
Research Abstract |
日常検査情報を多変量的に解析することで、基準範囲の設定を可能とする"潜在基準値抽出法"を1996年に開発した。同法では、他の検査項目の基準範囲初期値を除外規準に、そのいずれかを超えるデータを持つ個体を除外して基準範囲を設定、それを全項目平行して行い基準範囲を更新する。この過程を繰り返し、各基準範囲を少しずつ相互に補正して最適化する。しかし、同法は基準範囲の初期値が悪いと設定が偏ったり、年齢分布が高齢に偏りやすいなどの問題があった。そこで今回、(1)健常限界値の登録を可能とし、それを超える異常値を持つ個体を全計算から除外する、(2)異常値の少ない20代から段階的に基準範囲を求める、(3)年齢フィルターを設定し、データ数の多い年代のデータを無作為に除外するなどの改良を行い、かつ(4)boot-strapという方法で基準範囲の上下限値の信頼区間の計算も可能とした。また年齢層別に基準範囲(臨床検査値の加齢変化)を求めるプログラムにも同様の改良を行った。 今年度、2年前に岡山県下の主要な6検査室から提供を受けた生化学検査約18項目、各施設約1万件のデータを使い、改良プログラムの実用性を検証した。その結果、GPT, GOT, ALP, Cmなど標準化の進んだ項目では、近似した基準範囲が求まった。現在、より大規模なデータを多数の検査室から提供を受け、可能なものは標準品で値を統一した上で基準範囲を設定し、その近似性およびその加齢変化の一致性を検討中である。 一方、米国の研究者と共同で、疾患別症例データベースから、一定の診断規準を満たす症例を抜き出し、同様のアルゴリズムを使って極端値を抜き取り、"疾患固有の基準範囲"の設定を試みている。また腎不全患者の透析前後の臨床検査値の"基準範囲"の設定も行っている。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Ichihara, K., Sato, K.: "Evidence-based laboratory interpretation system built on a large collection of case records with well-defined diagnosis"Clin Chem Labo Med.. 39. 1033-1044 (2000)
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[Publications] Itho, Y.Ichihara, K.: "Standardization of immunoassay for CRM 470-related proteins in Japan : from evaluating CRM 470 to setting reference intervals"Clin Chem Labo Med. 39. 1054-1061 (2001)
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[Publications] 市原清志: "基準範囲と生体リズム"臨床検査. 45. 617-631 (2001)
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[Publications] 市原清志: "検査診断ロジック"現代医療. 33. 1655-1672 (2001)
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[Publications] 市原清志, 佐藤和孝, 石田博, 為近美栄, 黒川幸徳, 濱野政弘, 小郷正則, 松田信義: "検査情報サービスのあり方"日本臨床検査自動化学会会誌. 26. 108-113 (2001)
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[Publications] Ichihara, K.: "Intelligent quality management in emergency laboratory"The proceedings for the 9th International Symposium on Ouality Control and Management, Eibun Press Ltd.. (in press). (2002)