2001 Fiscal Year Annual Research Report
在宅痴呆症老人の10年間の生活状態の変化と地域看護支援のあり方に関する研究
Project/Area Number |
13672451
|
Research Institution | 福井医科大学 |
Principal Investigator |
別所 遊子 福井医科大学, 医学部, 教授 (20190176)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 幸代 福井医科大学, 医学部, 助手 (20313760)
長谷川 美香 福井医科大学, 医学部, 講師 (90266669)
細谷 たき子 福井医科大学, 医学部, 助教授 (80313740)
安井 裕子 福井県奥越健康福祉センター, 医監
|
Keywords | 痴呆症老人 / 在宅 / 死亡リスク / 死因 / 死亡の場所 / 地域看護 / コホート調査 |
Research Abstract |
目的 在宅痴呆症高齢者の、基礎調査後8.5年間の死亡率、死因および死亡の場所を、非痴呆症高齢者群と比較し、痴呆症高齢者に対する地域看護援助のための基礎データを得る。 対象と方法 1992年に福井県K市において、在宅高齢者全員(n=5340)を対象に実施した生活基礎調査、および二次(専門)調査により、精神科医がDSMIII-R等にもとづき痴呆症と診断した201名を痴呆症群とし、痴呆症と診断されなかった者を対照群とした。基礎調査後8.5年間の死亡の状況および死因を、人口動態調査死亡標、死亡小票および保健婦情報により確認した。基礎調査時の年齢を、65-74歳、75-84歳、85歳以上の3階級に区分し、対照群と死亡率、死因別死亡率、死亡の場所を比較した。 結果 8.5年間の間に、痴呆症群201名中163名が死亡しており(81.1%)、35名(17.4%)が存命、3名が転出のため追跡不可能であった。存命者のうち16名は在宅を継続していた。対照群では4959名中1530名(30.9%)が死亡していた。痴呆症群の対照群に対する死亡率比は2.63、性・年齢階級で補正した死亡率比は1.65であった。 痴呆症群の死因は、脳血管疾患がもっとも多く死亡総数の36.8%、呼吸器疾患が25.8%であった。対照群では悪性新生物(23.3%)が一位で、脳血管疾患は、呼吸器疾患とともに約19%であった。脳血管性痴呆患者の死亡率は、アルツハイマー型よりも高かった。痴呆症群の死亡の場所は、対照群と比較して老人ホーム(31.9%)が高く、病院、診療所(46.0%)が有意に低かった。 考察 痴呆症と診断された地域の高齢者は、非痴呆性高齢者より8.5年間にわたって一貫して死亡リスクが高いこと、死因としても脳血管疾患が影響していること、生涯在宅で生活する者が少なくないことから、脳血管疾患の予防、在宅介護・看護支援が重要であるといえる。
|