2003 Fiscal Year Annual Research Report
少子化時代における育児期間中にある夫婦の二世代間関係に関する研究
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13672454
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
森田 せつ子 名古屋大学, 医学部, 教授 (30182249)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 久美子 名古屋大学, 医学部, 助教授 (40259388)
川崎 澄雄 金城学院大学, 家政学部, 教授 (40152946)
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Keywords | 里帰り出産 / 妻方生家 / 里帰り慣行 / 親移行 / 家からの援助 / 実母 / 親としての社会化 / 家族形成 |
Research Abstract |
〔目的〕わが国には,従来より,出産前後の数週間を妻の生家で過ごすという里帰り出産の方法がある。今回,里帰り出産の実態を把握し里帰り出産と夫婦の里方との関係が生殖家族としての新しい家族形成におよぼす影響について検討し,親への移行を円滑にするための里帰り出産の今日的意味づけを考察する。対象者は地域的特性の相違を比較するため,北海道内居住者181名,愛知県内居住者202名の1歳児をもつ母親に対して調査を実施。 〔結果〕1.親になる過程(育児の社会化)における里帰り出産の意義 1)里帰り出産は,愛知県内居住者183名(90.6%),北海道居住者では131名(72.4%)と現在においても多数みられる。 2)里帰り出産は生家とのつながりをもたらしている。 (1)実母との結びつきが強い関係がみられる:里帰り出産者における家事担当者は「実母」が86.6%,非里帰り出産者では36.2%と里帰りの方が実母からのサポートを受けている。 (2)里帰り出産者では,生家からのサポートとして,出産後の現在においても,87.6%は物質面・精神面・経済面の援助を受けており,その中でも,精神面での援助関係が強くみられる。 (3)里帰り出産者と家族とのネットワークは,対面的な「直接会う」,間接的な「電話等」を利用している。「直接会う」頻度は家族とりわけ実父・実母と娘の関係は,里帰りの方が非里帰りより高い傾向がみられる。 2)里帰り出産は,情緒的サポートにより,親への円滑な移行を保証する。 (1)夫婦における,「妊娠・出産,子育て」という親への移行過程では,養育は子育てをする親にとってもまたその両親にとっても社会化の一方法である。 (2)この移行過程における実母の役割は,親への移行を助長するための社会化の担い手である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 大橋幸美, 森田せつ子: "母親と父親の胎児感情の比較"愛知母性衛生学会誌. 21. 39-44 (2003)
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[Publications] 小川有紀, 森田せつ子: "妊婦の不安要因および夫および妻の夫婦満足度が妊婦の不安に及ぼす影響"愛知母性衛生学会誌. 21. 21-28 (2003)