2003 Fiscal Year Annual Research Report
沖縄の離島における介護をめぐる親族ネットワークの機能と課題
Project/Area Number |
13672464
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
古謝 安子 琉球大学, 医学部, 講師 (30305198)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
船附 美奈子 琉球大学, 医学部, 助手 (60347143)
小笹 美子 琉球大学, 医学部, 講師 (10295313)
宇座 美代子 琉球大学, 医学部, 教授 (00253956)
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Keywords | 小離島 / 高齢者介護 / 親族ネットワーク / 聞取り調査 / 終末期ケア / 葬法 |
Research Abstract |
沖縄の離島における介護をめぐる親族ネットワークの機能と課題について調査結果を基に、本年は火葬場のない島での葬法に対する住民の関心や島での終末に関する分析をし、投稿及び報告を行った。 座間味村には火葬場がなく、村内死亡者を埋葬し数年後洗骨する伝統的習俗が継続され、それゆえ住民の葬法に対する関心は洗骨経験の有無と関連していた。50歳以上の住民は7割に洗骨経験が有り、その殆どは火葬を支持し火葬場建設を望んでいたが、50歳未満では洗骨経験を有する者は2割で彼らの4割は埋葬を認めていた。しかし、自分の死後の葬法ではその9割が火葬を選択していた。 また本島の4病院における5離島の高齢者の入院状況から、終末期に近い90歳以上の入院割合は座間味村が23.1%で一番高く、介護が重くなると高齢者が村外移動している実態が明らかとなった。このような要介護高齢者の村外移動は、埋葬・洗骨の伝統的習俗からの解放を求める住民の関心が、入院、入所、死亡、火葬の一連のパターンを辿らせていると推測され、火葬場の有無や住民の葬法に対する関心は高齢者の島での終末に影響を及ぼしていると考えられた。また同様に火葬場のない津堅島ではほぼ全員が施設や病院で死亡し、島で終末を迎えた1人も本島で火葬されるなど10年前から火葬に転化しており、島で終末を迎える高齢者は殆んどいなかった。そこで、親族ネットワーク機能と終末期を過ごしたい場所について座間味村と津堅島の2地域を対象に検討した結果、親族支援の乏しい者の6割が島内を希望し、支援の豊富な者の3割は島外施設を選択する等、親族の支援状況に依らず終末ケアを介護機関に期待する傾向が明らかになった。 以上のように介護をめぐる親族ネットワーク機能と行政施策は関連しており、親族機能が弱くサービスが乏しい離島における地域看護専門職による地域づくりや施策化への支援強化が早急な課題であると示唆された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 古謝安子: "火葬場のない沖縄県離島における葬法に対する住民の関心"民族衛生. 69・2. 35-46 (2003)
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[Publications] 古謝安子: "沖縄県小離島における要介護高齢者の親族ネットワークと終末期を過ごしたい場所"日本地域看護学会 第6回学術集会講演集(ポスター). 171 (2003)
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[Publications] 古謝安子: "離島の要介護高齢者や介護者に関わる親族ネットワークの機能と地域ケア"日本公衆衛生雑誌. 50・10. 666 (2003)
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[Publications] 古謝安子: "火葬場のない離島2地域における葬法の現状と住民の関心"民族衛生学会 第31回沖縄地方会抄録集. (口頭発表). 3 (2004)