2003 Fiscal Year Annual Research Report
コロトコフ音分類を用いた循環器アセスメント能力の育成とツールの開発
Project/Area Number |
13672489
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
片山 富美代 広島国際大学, 看護学部, 講師 (70309649)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 慎一郎 広島国際大学, 保健医療学部, 助教授 (20238108)
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Keywords | 血圧測定 / コロトコフ音 / 看護技術 |
Research Abstract |
聴診法による血圧測定法で得られるコロトコフ音は循環器系の様々な情報を内包しており、その波形パターンや周波数成分はそれらを反映していると考えられる。コロトコフ音は様々な循環器の状態を反映していくつかのパターンに分類できるとした報告もあるが、疾患との関係は充分明らかにされていない。本研究ではコロトコフ音の解析により臨床において簡便に健康状態をチェックする方法の開発を試みてきた。 昨年度の結果ではコロトコフ音の波形パターンは採音時の聴診器による血管への圧力の違い等によっても変化することが示されたがこれは主に音の強度(大きさ)に依存している。そこで本年度は、一見波形(強度)の異なる、同一条件下でのコロトコフ音の周波数分布の再現性と変動についての検証を行った。測定は健康な20代前半の女性と20代後半から70代までの標準的日常生活を送る男女約50人に対してなされた。 得られた分布は80Hz〜400Hz付近に広く分布しており、それぞれI〜V音に対応する変化が観測された。特に若年層では100Hz前後に一つ、もしくは二つのピークをもつ比較的シンプルなパターンが得られたが、年齢が進むにつれて高周波成分が増加し、パターンが複雑化する傾向がみられた。この複雑化の原因はII音およびIII音付近の最初の拍動後の残響音成分の増加に伴って生じており、血管の状態に関する情報はこの残響音の成分に多く関与していることが示唆された。また、同一被験者の同一条件下での再現性に関する測定では、波形(強度)パターンの変動に伴ういくらかの変動は含まれるものの他者と区別できる程度の固有パターンが得られることがわかった。高血圧等の健康状態や飲酒喫煙などの影響に対しても比較検討を行ったが、今回の結果からは明確な差異は見いだすことができなかった。
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