2002 Fiscal Year Annual Research Report
障害児を養育する家族の発達と家族システム-発達過程と関連要因-
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13672490
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
濱田 裕子 産業医科大学, 産業保健学部, 講師 (60285541)
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Keywords | 障害児 / 家族 / 家族の発達 / 家族システム / 家族看護 |
Research Abstract |
障害児を養育する家族の機能と発達過程について明らかにすることを目的に、本年度は、昨年度参加観察を行った障害児療育センターに通園する障害児家族を中心に研究協力を依頼し、了承の得られた8名6家族にインタビューを実施し、その結果をグラウンデッドセオリーアプローチの継続的比較分析法を参考に分析しているところである。 対象者は、幼児期の障害児をもつ家族6名(5家族)と学童期の障害児をもつ家族2名(1家族)で、うち父親2名、母親6名であった。また、全て核家族であったが、1家族は離別による単親であった。子どもの障害の程度は、重度重複障害児が3名、軽度〜中度の重複障害児が3名であった。障害のある子どもをもつ家族は、子どもが乳幼児期にある時には、母親は子どもの障害を受けとめることや日々の養育に精一杯であった。子どもが乳幼児期にある母親は、家族の中で障害のある子どもを中心に生活していたが、一方父親は、障害児と母親の枠の外から、主に母親に関わるとともに、他の子どもなどの家族メンバーを気遣いながら生活していた。対象者数が少ないので断定はできないが、母親は障害児の専属ケアラーとして、父親は母親と他の家族メンバーの調整役としての機能があり、さらに、父親の役割の程度は祖父母の支援の有無や程度によって違ってくると推測された。また、障害児の家族の機能として、障害のある子どもを家族が社会の中に位置づけていく、子どもを社会につなぐといった機能があることが示唆された。 今後は、理論仮説を検証していくために、対象者数、特に家族員としての父親の数を増やし、継続的に比較分析を行っていくとともに、社会との相互作用の視点を加え、あらたに学童期にある障害児の家族のサンプリングを実施し、障害児の家族特有の機能についても分析をしていくこととする。
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