2004 Fiscal Year Annual Research Report
障害児を養育する家族の発達と家族システム-発達過程と関連要因-
Project/Area Number |
13672490
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health |
Principal Investigator |
濱田 裕子 産業医科大学, 産業保健学部, 講師 (60285541)
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Keywords | 障害児 / 家族 / 父親 / 母親 / 家族看護学 / 家族の発達 / 家族システム |
Research Abstract |
障害児の家族機能と発達過程を明らかにすることを目的に、最終年度である今年度は、理論的サンプリングとして、学童期および高等部にある障害児の家族、特に健常児のきょうだいを上に持つ障害児の家族を対象に追加し、了承の得られた6家族に対してインタビューを行い、グラウンデッドセオリーアプローチに基づいて継続的比較分析を実施した。対象者は学童期の障害児をもつ家族6家族12名で、うち母親6名、父親6名であった。6家族のうち、障害のある子どもは7人であり、障害の程度は中度〜重度(身障手帳1種1級〜2級)の重複障害であり、家族形態は両親と子どもの核家族が4家族、2家族は祖父母のいる拡大家族であった。母親は非常勤として働いているものが1人、その他は専業主婦であり、父親は職業に就いていた。6家族ともきょうだいがいるが、1家族は2人とも障害児であり、障害児の上にきょうだいがいる家族は3家族、障害児の下にきょうだいがいる家族は1家族で、上下ともに兄弟がいる家族が1家族であった。 これらのデータを追加し比較分析した結果、全てのケースで、障害児と家族のおかれている世界は、【限定された普通とは違う世界】として捉えられていた。母親は、当初ショックや絶望、自責感といった感情をもちながらも、目の前のわが子の養育に精一杯な毎日を送り、健常児やきょうだいなどとの比較をしながら、また通園施設などでピアを得ながら、わが子を【この子はこの子】と捉えていくようになっていた。障害を引き受けると、子どもに対してまた家族の内外に対して、限定された世界を広げるための戦略や行動をとっていた。しかし一方、子どもだけでなく家族までもが、限定された世界から踏み出せずにいた家族もいたが、夫婦間でのやりとりを経て、次の子を生むという選択をし、社会に踏み出している家族もあった。父親は、母親と子どもを見守りながら、障害児の養育については、ほとんどを母親に任せていたが、それまでの仕事中心の生活から家庭や子どもに生活をシフトさせた父親もいた。またきょうだいがいる障害児の両親は、それぞれの家族成員(特にきょうだい)間の調整を図り、家族としてのバランスをとり、「独自の家族」としてのあり方を模索し、形成している段階と考えられた。
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