2002 Fiscal Year Annual Research Report
慢性疾患患者のQOLに関する臨床的研究-Time Trade-Off法による検討-
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13672499
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
足立 久子 岐阜大学, 医学部, 講師 (00231936)
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Keywords | HRQOL / 糖尿病患者 / TTO法 |
Research Abstract |
糖尿病患者は、食事・運動療法などの自己管理を一生涯必要とされ、疾患がその人のQOLに与える影響は大きいと考えられるゆえに、糖尿病患者のHRQOLを正確に評価する必要性が生じた。 糖尿病患者のHRQOLをTTO法を用いて評価するために、外来通院中の糖尿病患者100名を対象に、TTO法、半構成的面接法と日本語版SF-36の質問紙を用いて、現在の健康状態の総体的言平価と健康選好値の指標であるTTO値を低下させる要因を明らかにしようとした。年齢、病気による身体的症状(身体的自覚症状、3大合併症])、否定的な感情(つらい思い、病気の心配)、治療法(インスリン療法、非インスリン療法)、HbA_<1C>%とHRQOLの関係を検討した。患者を、生きている時間(年数)が短くなっても健康な状態になって過ごしたいとした者を交換者(TTO値1.0以下)、現在の糖尿病の状態のまま過ごしたいとした者を非交換者(TTO値1.0)の2群に分け、次のような結果が得られた。 第1に、身体的自覚症状、病状の悪化や合併症の心配、食事制限や身体的自覚症状のつらさ、HRQOLの下位領域を測定するために用いたSF-36の下位尺度の全体的健康感、社会生活機能、日常役割機能(精神)、心の健康などは健康な生存時間との交換要因となった。しかし、交換者のTTO値は低下させなかった。第2に、年齢、合併症の有無、治療法、血糖値の改善は、健康な生存時間との交換要因ではなかった第3に、糖尿病の合併症は健康な生存時間との交換要因ではなかったが、交換者のTTO値を有意に低下させていた。 これまで、TTO法を用いて糖尿病患者のHRQOLを検討した報告は国内・外ともに少ないが、TTO値を低下させる要因に関して、本研究の結果は有効な知見を得ることができた。同時に、今後、さらにTTO値を低下させる機序について検討する必要性が認められた。
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