2002 Fiscal Year Annual Research Report
肝切除患者の術後回復パターンの構造分析と周術期看護モデルの開発
Project/Area Number |
13672502
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
明石 惠子 三重大学, 医学部, 助教授 (20231805)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浦川 加代子 三重大学, 医学部, 講師 (00273384)
中西 貴美子 三重大学, 医学部, 講師 (40283543)
櫻井 しのぶ 三重大学, 医学部, 助教授 (60225844)
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Keywords | 肝切除 / 周術期看護 / 回復過程 |
Research Abstract |
本研究は、肝・胆道系悪性疾患のために肝切除を受ける患者に対する周術期看護モデルの作成を目的としている。本年度は特に、肝切除を受けた患者が手術と手術後の回復経過をどのように感じているのかを質的帰納的に分析し、肝切除患者の手術後の回復過程の特徴を明らかにすることを試みた。対象は、肝切除術を受ける患者で、本研究の目的と方法を理解し、参加への同意が得られた者であった。患者の手術後、身体的な回復が明らかになった時期に、今回の手術に関する非構成的面接を行い、面接記録から意味をとりだしてコード化し、意味の類似性と差異によってカテゴリー化した。その結果、肝切除を受けた患者は、以下のことを感じていることが明らかになった。 (1)手術そのものに対する感覚:知らないうちに手術が終わった、手術しても何も変わらない。 (2)身体な変化:創部痛や背部痛がとても辛い、術前に当たり前の様に行っていたことができない。 (3)自分らしさの変化:いつもの自分ではない、術後の状況に耐えられない。 (4)体調・苦痛の判断:自分の状態が判断できない、比較して苦痛の程度を推し量る。 (5)状態改善への努力:何とかして痛みを和らげる、可能な範囲でがんばる。 (6)回復の実感:体の反応で回復を感じる、自分以外のととに関心をもつようになる。 (7)回復への支え:行動範囲を広げたい、家族のサポートが力になる。 以上より、肝切除術を受けた患者は、手術後、身体的な苦痛と自分らしさの欠如を感じ、自分の力で体調を判断し、状態を改善するために可能な限りの努力をしていることが明らかになった。肝切除の周術期看護においては、このような患者の努力と回復の実感を十分に考慮する必要がある。
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Research Products
(2 results)