2002 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の自我発達を促す援助方法としての「自分史」活用の効果の検討
Project/Area Number |
13672529
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Research Institution | Kobe City College of Nursing |
Principal Investigator |
沼本 教子 神戸市看護大学, 看護学部, 教授 (00198558)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅井 さおり 神戸市看護大学, 看護学部, 助手 (20326317)
原 祥子 神戸市看護大学, 看護学部, 講師 (90290494)
西田 真寿美 岡山大学, 医学部・保健学科, 教授 (70128065)
田上 明日香 神戸市看護大学, 看護学部, 助手 (80316059)
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Keywords | 高齢者 / 自我発達 / 自分史 / 老年看護 / 心理的健康 |
Research Abstract |
本研究は、高齢者が「自分史」を記述することによって、どのような自我発達を経験していくのかを明らかにし、老年期における心理的健康を維持していくための看護援助として、「自分史」を活用することの意義および可能性について検討することを目的として研究を行ったものである。 [研究経過及び研究成果等]高齢者が人生の歴史を振り返り自我発達を促進する援助方法として、まず「語りを聴く」ことによって援助が可能であると考えられたため、平成13年度は介護老人保健施設を利用する高齢者9名を対象とした「口述ライフストーリー」の質的・量的内容分析を行い、人生をどのように振り返るのかに焦点を当てて語りの様相を明らかにし、高齢者看護ケアにおける意義を検討した。その結果、個人のライフストーリーは歴史・社会的な背景や文化の影響を受けながらも、個別性・多様性に富んだ内容であること、過去の人生時期の語りにかけられた時間には濃淡があり、その人にとっての意味のある時間と人生の構造を知る手がかりになることがわかった。 また、時代や社会変動の影響を受ける教育の状況・仕事への従事・死生観のあり方・地域特性などの語り手の背景が反映されていることや、性による違い、重要他者の存在、心理的居場所の存在、空白の時間の存在が示されていた。これらの研究成果をもとに「自分史を書く」具体的方法への示唆を得ることができた。平成14年度は、研究対象者を4名の有料老人ホーム利用高齢者とし、平成13年度の成果をふまえた「自分史プログラム」を企画し自分史を書くこと支援した。現在、参加者それぞれの自分史の編集を行っている。また、プログラム介入前後の日本語版E.エリクソン発達課題達成尺度による測定結果(下仲ら,2000)、GHQ28測定結果、PGCモラールスケール測定結果とインタヴュー内容の分析・評価を用いて高齢者の自我発達に及ぼす自分史活用の効果を検証するプロセスに入っている。
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