2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13672534
|
Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
野川 道子 北海道医療大学, 看護福祉学部, 助教授 (00265092)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
唐津 ふさ 北海道医療大学, 看護福祉学部, 助手 (20285539)
海岸 美子 北海道医療大学, 看護福祉学部, 助手 (40316253)
三宅 浩次 北海道医療大学, 看護福祉学部, 教授 (20045363)
西村 歌織 北海道医療大学, 看護福祉学部, 助手 (20337041)
|
Keywords | 変性性神経疾患 / 生活上の困難 / 疾患の受け止め / 対処 |
Research Abstract |
変性性神経疾患のうち慢性進行性である筋萎縮性側策硬化症患者に対して、病気の生活への影響、困難とその受けとめと対処について明らかにする目的で、患者11名について各々2回にわたり半構成的面接調査を実施した。その結果、次のことがわかった。1.生活への影響や困難としては「役割遂行の困難」「将来設計がたたない」「経済的困窮」「家族の負担の増大」などがあり、これには疾患のタイプが上肢型、下肢型、球麻痺型かということや、これまでの役割が影響していた。2.病気やその影響に対する受けとめについては「価値ある自己の喪失」「無能感」「死の実体化」「病気への挑戦」「病気ではない障害との共存」「これまでの人生を振り返る」などがあり、これには病気の進行速度、障害部位、入手できた情報、これまでの価値観や生き方及びその人のパートナーの思いが影響していた。また、経時的にみると、生活変化や入手した情報により、心理的動揺が激しい一定の時期を経て、安定へと向かい、再び、病気の進行などにより生活変化がおこると、心理的動揺おこり、やがて安定へと向かうが、これら動揺の時期を経て、患者は自己成長や成熟を実感しているということが観察された。3.対処については、病気や治療に関する「情報の収集」「進行予防のための運動」「専門家や同病者との交流」「将来を見越しての環境の整備」「その日その日を生きる」などがあったが、ここ1年または数ヶ月という限定された期間の予定を立てて生活するという人が多かった。また、その人がどのような対処パターンをとるかについては、これまでのその人の生活や人生への取り組み方が大きく反映していた。以上のことより筋萎縮性側索硬化症患者の病気の受けとめは、脊髄損傷患者や脳卒中患者で言われているように段階を経て障害の受容に至るのではなく、病気の進行や、生活変化、入手できた情報の影響を受けて動揺し、やがて安定するが、状況変化により再び動揺するということを繰り返すが、その過程を経て自己成長や成熟がおこっているということがうかがえた。なお、看護ケアにおいては、これまでのその人の生活や人生への取り組みを生かす形での、援助の提供をすることで、質の高い安定が得られることが示唆された。
|