2001 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者関連施設での疥癬感染の実態調査と伝播防止に関する研究
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13672537
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
永倉 貢一 東海大学, 医学部, 講師 (80142454)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 健一 北海道立衛生研究所, 医動物学部, 科長
竹内 佐智恵 慶応義塾看護短期大学, 看護学部, 講師 (80276807)
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Keywords | 疥癬 / 疥癬ダニ / 高齢者関連施設 / 疫学解析 / 院内流行原因 / 流行防止対策 |
Research Abstract |
H13年度本補助金によって以下の成果がえられた。 1.高齢者関連施設での疥癬流行実態が把握できた。 1995年から1999年までの5年間に神奈川県内の全施設の73.3%にあたる77施設で計227件(1施設あたり2.95件)の疥癬の流行があった。り患者の88.2%が長期入所者で,発生の85%が特養ホームと特定許可病院で発生し,療養型病床群では発生は少なかったが1施設あたりのり患者数は26.75人と老健施設の5.7人に比べ4.7倍高かった。発生施設数,発生件数,り患者数は96年から99年まで有意に増加していたが,発生1件あたりのり患者数は減少傾向にあった。これらのことは,神奈川県での疥癬発生の多くが単独発生化・頻発化しているが,いくつかの施設(療養型病床群)ではいまだ発生があり集団発生が起きていることをしめしていた。 2.疥癬ダニの施設内への侵入経路と施設内伝播が解析された。 疥癬ダニの侵入経路は77の陽性施設のうち65施設で他施設や他病院からのもち込みによるもので,発生の多くは施設間のピンポン感染であることをしめした。このことは全施設で的確な防疫対策を講じれば,疥癬流行を押さえ込むことができる可能性をしめしている。さらに,疥癬ダニの施設内伝播を疫学的に解析した。われわれは疥癬ダニが高齢者の介護時に,介助者の衣類・手指を介して伝播することをあきらかにしていた。すなわち,ADL5の「寝たきり老人」に感染者が多かった。今回の調査でも同様な結果がえられ,疥癬が接触感染である再現性がみられた。このことは介助者への感染管理教育が重要であることをしめしている。 3.感染者が出た場合,各施設はどのように対応したかが分析された。 この分析は疥癬の施設内流行があった施設で,発生が単独化あるいは集団化した要因を調べ,流行があった際に現場でどのような対応をすべきかを考察するためになされた。疥癬の重症度が高いほど,また疥癬を疑ってから確定診断に至るまでの期間が長いほど,集団化する傾向があった。疥癬流行があった施設では,手洗いなど衛生教育の不徹底,ならびに入所時の疥癬チェックの不十分あるなどが有意に高かった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 永倉 貢一: "神奈川県の高齢者関連施設での疥癬発生の実態"環境感染(日本環境感染学会誌). 16(3). 216-219 (2001)
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[Publications] 深谷 安子: "神奈川県の高齢者関連施設での疥癬の感染防止対策の実態"環境感染(日本環境感染学会誌). 16(3). 220-224 (2001)
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[Publications] 永倉 貢一: "疥癬流行予防のリスクアセスメント"INFECTION CONTROL. 10(7). 664-668 (2001)
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[Publications] 深谷 安子: "神奈川県高齢者関連施設での疥癬の発生状況と感染防止対策の実態"在宅医療. 34. 41-47 (2001)