2003 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者関連施設での疥癬感染の実態調査と伝播防止に関する研究
Project/Area Number |
13672537
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
永倉 貢一 東海大学, 医学部, 講師 (80142454)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田爪 正気 東海大学, 健康科学部, 教授 (20056162)
高橋 健一 北海道立衛生研究所, 医動物学部, 科長
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Keywords | 疥癬 / 疥癬ダニ / 訪問看護ステーション / 在宅要介護者 / 在宅療養者 / 疫学解析 / 流行原因 |
Research Abstract |
H15年度は本補助金の最終年度であり,以下の成果とH13-H14年度の研究成果のまとめがなされた。 1)在宅要介護者と在宅療養者の疥癬の感染実態を調査した。 日本は総人口の17%が65才以上であるという高齢社会となり,在宅で訪問介護を必要とする要介護者や訪問医療を必要とする療養者が増加している.このため,介護保険制度の導入にともなって訪問医療や訪問介護,入浴・リハビリなど訪問サービス業が一般化しつつある.だが,サービスの提供過程で,訪問者が在宅者から疥癬を伝播される例やその逆の例が少なからずあると思われた. そこで,神奈川県内の在宅者の疥癬感染の実態を知るために,231訪問看護ステーション(施設)に対してアンケート調査をおこなった.調査票回収率は60%,県内を9地域に分割すると46.7-75.0%の幅があった.2002年3月までの2年度に,回答した138施設のうち35施設(25.3%)で,それぞれ26件(27人)と20件(22人)の感染があった(施設平均1.4人).うち両年度ともに疥癬を経験した施設が8施設あった.疥癬発症率は9地域の>65才人口が高いほど高い傾向があり,施設が扱った感染者は訪問対象者数に関係していた.感染者の60%が76-85才の,ADL 5の寝たきり者と座位可能なADL 4の高齢者であり,かつ痴呆症状をもつ割合が66%と高かった.在宅者35人のうち6件で訪問者や家族など本人以外の者が感染し,1人の在宅者から,施設訪問員1人,家族3人,他業種の訪問員3人の7人が感染した例もあった.また,疥癬発症によって在宅者の87.5%が訪問サービスが中断される(在宅者あたり約2業種)など,感染者が不利益を被っている様子が伺えた.感染は高齢者施設のショースティや病院への短期入院などによるピンポン感染が40%であり,一部は訪問サービスで罹っていた.今後,在宅者の疥癬の早期発見・治療をおこなうとともに,各種訪問サービス業担当者への疥癬対応・感染予防教育をすすめる必要性があると思われた.(永倉ら,日本環境感染誌,投稿中) 2)地区看護協会の協力で2回の「疥癬撲滅のための講習会」を開催した。 神奈川県県央地区と県西地区で「疥癬撲滅のための講習会」を開催し,看護師・ヘルパーを啓蒙した。
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