2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13680006
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
常石 敬一 神奈川大学, 経営学部, 教授 (00039786)
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Keywords | 生物兵器 / 化学兵器 / 軍事技術 / 日本軍 / 日本陸軍 / 日本海軍 |
Research Abstract |
2002年秋、神奈川県寒川町の道路工事現場から旧日本海軍のものと見られる化学剤、イペリット(マスタード)とルイサイトが発掘された。現地を調査し、資料を調べる機会があった。これら化学剤は戦時中市販されていたビール瓶に封入されていた。これは、陸軍のガラス容器入りの青酸ガス弾、「ちゃ瓶」と比べきわめて簡便で、応急的な、いわば「竹やり」を思い起こさせるものだ。こうした簡便な方法がとられたのは資源上の制約あっただろうが、当時の日本の戦時技術の限界を示しているだろう。 2回にわたり米国公文書館について調査をする機会があった。ファインスタイン法成立により日本関係について新たな資料公開の期待があったが、申請者が研究している生物化学兵器関係では、新たな資料を発見することはできなかった。このプロジェクトにかかわっているアーキビストと話をしたが、作業はそれほど急速進んでいるわけではなく、新資料公開は来年度以降に期待するしかないようだ。 本年度の収穫は、1948年の帝銀事件の捜査ファイルの分析を通じて、1945年8月までの旧日本軍の秘密研究のネットワークのつながりが、まさにネットワークであり、密接なつながりを持っていたことが明らかとなった。捜査ファイルは、731部隊、100部隊、第9陸軍技術研究所、それに特務機関などの連携ぶりを当事者の証言によって、明らかにしている。その一部については『謀略のクロスロード』において明らかにした。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 常石敬一: "人体実験の731部隊から見た科学(者)のあり方"科学フォーラム. 223. 2-6 (2003)
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[Publications] 常石敬一: "2001年炭素菌事件と科学の進歩"シュプリンガー・サイエンス. 17・3. 6-9 (2002)
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[Publications] 常石敬一: "謀略のクロスロード-帝銀事件捜査と731部隊"日本評論社. 215 (2002)