Research Abstract |
本研究では,水着の形状が水泳中の体温調節反応に及ぼす影響を明らかにすることを目的とし,日頃からトレーニングを行っている大学水泳選手12名を被験者とした.被験者の年齢,身長,体重,体脂肪はそれぞれ20.2±1.3yr,174.0±6.4cm,69.1±7.7kg,17.7±3.1%であった.実験に先立ち本実験の目的,安全性,予想される結果について書面及び口頭で説明し,被験者として本実験への参加承諾を得た.皮膚温測定のための温度測定装置(温度ロガー3650;センサー部,2040データメモリー,電池内蔵,日置社製)を下腿部,大腿部,腹部,胸部,前腕にテープで貼り付け,水泳中1分ごとにデータを取得した.通常の水着群(RS群)6名とロングタイプ水着群(BS群)6名にクロールで1500m泳を行わせ,泳前後の体温(口腔温),水泳中の皮膚温,泳直後の心拍数,RPE,温度感覚(頭部,躯幹部)を測定した.その結果,テスト泳後半(10分後,15分後)の平均皮膚温,テスト泳後の主観的指標である頭部(TSH),躯幹部(TSB)の温度感覚において,BS群が有意に高い値を示し,水着の形状の違いによって,水泳中の体温調節反応に違いが認められた.本研究でのプール温度条件であった30℃前後の水温でのロングタイプ水着を着用した水中トレーニングでは,高体温や脱水を引き起こさないように十分な水分摂取を行う必要があることが示唆された.第2年度は水温及び泳速度による影響,さらにスイミングキャップの素材の違いも考慮し,体温調節反応及び水泳パフォーマンスに及ぼす影響についての検討を行う予定である.
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