Research Abstract |
本研究では,水着の形状が水泳中の体温調節反応に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした.第1年度においては,テスト泳後半の平均皮膚温,テスト泳後の主観的指標である頭部(TSH),躯幹部(TSB)の温度感覚において,ロングタイプ水着群(BS群)が有意に高い値を示し,水着の形状の違いによって,水泳中の体温調節反応に違いが認められた.第2年度においては水温の影響を検討するために,日頃からトレーニングを行っている大学水泳選手12名を被験者とし,実験に先立ち本実験の目的,安全性,予想される結果について書面及び口頭で説明し,被験者として本実験への参加承諾を得た.皮膚温測定のための温度測定装置(温度ロガー3650;センサー部,2040データメモリー,電池内蔵,日置社製)を下腿部,大腿部,腹部,胸部,前腕にテープで貼り付け,水泳中1分ごとにデータを取得した.クロールで1500m泳を,2種類の水温条件(30.15,28.90℃)において行わせ,泳前後の体温(口腔温),水泳中の皮膚温,泳直後の心拍数,RPE,温度感覚(頭部,躯幹部)を測定した.その結果,主観的指標である頭部(TSH),躯幹部(TSB)の温度感覚,主観的運動強度において,さらに体温でも高水温群が高い値であった.本研究での高水温条件であった30℃前後の水温でのロングタイプ水着を着用した水中トレーニングでは,高体温や脱水を引き起こすことが考えられた.詳細については現在分析中であるが,今回の結果を踏まえ,今後は泳速度による影響,さらにスイミングキャップの素材の違いも考慮し,体温調節反応及び水泳パフォーマンスに及ぼす影響についての検討を行いたい.
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