2001 Fiscal Year Annual Research Report
肥満の減量に対する高地および走者応答型トレーニングシステムの有効性に関する研究
Project/Area Number |
13680051
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
寺尾 保 東海大学, スポーツ医科学研究所, 助教授 (50183489)
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Keywords | 肥満 / 減量 / 高地 / 低圧環境 / 歩行運動 / 脂質代謝 / 安静時代謝量 / トレッキング |
Research Abstract |
1.目的:本研究は、減量・ウェイトコントロールを必要とする肥満者を対象に、低圧環境下における乳酸性閾値の強度を指標とした歩行運動が運動終了後のエネルギー消費量にどのような影響を及ぼすか検討した。 2.方法:実験対象は、25〜60歳の男子肥満者6名を被験者とした。肥満者は、常圧環境下(気圧;760mmHg)と低圧環境下(標高1500mに相当する気圧;634mmHg)に分け、それぞれ60分間の歩行運動を行わせた。 3.結果および考察:(1)運動中の全エネルギー消費量は、低圧環境下と常圧環境下との間に有意の差がみられなかった。糖質および脂肪からの推定エネルギー消費量も両環境間に顕著な差が認められなかった。(2)低圧環境下における運動終了30分後のエネルギー消費量は、常圧環境後の値に比較して,有意な高値を示した(p<0.05)。(3)運動終了60分後のエネルギー消費量も運動終了30分後の変化と同様に、低圧環境後が常圧環境後に比して、高値を示した(p<0.05)。脂肪からの推定エネルギー消費量も低圧環境後が常圧環境後の値に比較して、有意な高値を示した(p<0.05)。(4)運動終了後の翌朝における安静時代謝量は、両環境間で有意な差がみられなかった。しかし、低圧環境後の値は、非運動時の安静時代謝量に比較して、有意な増加を示した(p<0.01)。安静時における脂肪からのエネルギー消費量は、低圧環境後の方が常圧後の値に比較して、有意な増加を示した(p<0.01)。以上、本研究の成績から、肥満者に対する標高1500mに相当する低圧環境下における60分間の歩行運動は、運動後、長時間にわたって脂質代謝を亢進させ、安静時代謝量を高める可能性のあることが示唆された。したがって、近年、女性や中高年者が週末を利用してトレッキングなどでの高地登山の増加は、登山後の長時間にわたるエネルギー代謝の亢進がみられ、肥満の予防および健康増進の観点から推奨されるであろうと考えている。
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Research Products
(1 results)