2002 Fiscal Year Annual Research Report
継続的な運動後のアイシング(活動筋冷却)がトレーニング効果に及ぼす影響
Project/Area Number |
13680065
|
Research Institution | Department of Human Sciences, Aichi Mizuho College |
Principal Investigator |
大西 範和 愛知みずほ大学, 人間科学部, 助教授 (20176952)
|
Keywords | アイシング / クライオセラピー / 筋力 / 筋持久力 / 筋力トレーニング |
Research Abstract |
平成14年度は、健康な男子7名、女子4名を対象に筋力トレーニングを行わせ、その直後に毎回活動筋を冷却し、身体トレーニング後に習慣的にアイシングを施すことが、筋の発達やパフォーマンスの変化に及ぼす影響について観察した。筋力トレーニングは、ハンドグリップ・エルゴメータを用い、8RMの運動負荷強度で一日に左右各8回を3セット、週3回の頻度で4週間実施した。毎回トレーニング直後に、一側の前腕部(利き腕6名、非利き腕5名)を10℃±1℃の冷水に20分間浸した。トレーニング期間前後に、最大及び最小前腕周径、皮下脂肪厚、最大筋力、筋持久力を測定し、冷却側と対照側でその変化を比較した。最大筋力は握力とし、筋持久力は、ハンドグリップ・エルゴメータにより、トレーニング前の最大筋力の約30%の負荷強度で2秒に1回のテンポのハンドグリップ運動を行わせ、テンポに追随出来なくなるまでの回数とした。トレーニング後、前腕周径に統計的に有意な変化はなかった。皮下脂肪厚は、統計的に有意に減少(冷却側p<0.05、対照側pく0.001)し、最大筋力は増加(冷却側p<0.05、対照側pく0.001)した。両パラメータとも冷却側と対照側の間に差はなかった。しかし、筋持久力は、対照側で統計的に有意(pく0.001)な増加率を示したのに対し冷却側では変化せず、筋力トレーニングに伴う筋の持久能の向上が冷却によって減衰し得ると推察された。運動後の筋の温度、代謝量や血流量などの差異に起因する応答やそれに伴う適応性の違いが機序として考えられ、今後解明が課題である。また、スポーツ現場などで、急性外傷の治療などの必要のない健常な筋に、アイシングを行う意義や適用条件について検討する必要性を示唆する。しかし、被験者の鍛錬度、トレーニング期間、強度、冷却の方法などの条件の違いが結果に影響する可能性もあり、検討を要する。
|
-
[Publications] 照屋博康, 大西範和, 山根基, 小坂光男: "アイシングが筋力トレーニングの効果に及ぼす影響"体力科学. 51・6. 572 (2002)
-
[Publications] 山根 基, 照屋博康, 大西範和: "スポーツアイシングの効果的活用に関する基礎的研究(1)-持久的なトレーニングの後に習慣的に実施した際の影響-"日本人間工学会東海支部2002年研究大会論文集. 9-10 (2002)
-
[Publications] 内山奈津子, 山根 基, 照屋博康, 大西範和: "スポーツアイシングの効果的活用に関する基礎的研究(2)-筋力トレーニングの後に習慣的に実施した際の影響-"日本人間工学会東海支部2002年研究大会論文集. 11-12 (2002)