2001 Fiscal Year Annual Research Report
脳の酸化的ストレスとシグナル伝達系に及ぼす運動の影響について
Project/Area Number |
13680068
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Research Institution | Osaka Gakuin University |
Principal Investigator |
角田 聡 大阪学院大学, 経済学部, 教授 (10158983)
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Keywords | 運動 / 脳 / 酸化的ストレス / カルボニルタンパク質 / マウス / コルチコステロン |
Research Abstract |
本年度は一過性の運動が脳組織に与える酸化的ストレスをカルボニルタンパク質の分析から経時的に検討した。運動は一過性のトレッドミル走とし,運動後回復期の小脳を除く脳組織をウエスタンブロット法によって分析した。さらに,運動のストレス指標を推定するために,血漿コルチコステロン濃度についても検討した。【方法】実験動物は8週齢の雄ICRマウス(体重30-379)を用い,10m/minのトレッドミル速度で5分間,15m/minで5分間負荷した後に,20m/minで60分間のトレッドミル走を実施した。脳組織の採取は運動前,運動直後,運動後3時間,6時間,12時間,24時間,48時間にそれぞれマウス5匹から行った。小脳を除いた脳組織は,Lysis bufferによってホモジネイトし,タンパク質画分をSDS-PAGEによって電気泳動した。その後ウエスタンブロットによって酸化的ストレスの指標であるタンパク質カルボニル基を分析した。【結果と考察】血漿コルチコステロンは運動直後に有意に増加したが,運動後3時間には減少し,運動後6時間には安静レベルまで回復した。カルボニルタンパク質の発現は,運動後48時間までには安静値と比べ有意な変化は認められなかった。しかし,運動後回復期にはウエスタンブロットによるカルボニルタンパク質の発現がわずかながら増加する傾向が観察された。これらの結果からマウスの1時間のトレッドミル走による運動は,ストレス応答ホルモンのコルチコステロンの分泌を促進させるが,脳のタンパク質に対する酸化的ストレスは顕著ではなかった。しかし,この微弱な酸化的ストレスが細胞内シグナル伝達に関与するタンパク質の発現に影響を及ぼすかどうかは今後の課題である。
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