2001 Fiscal Year Annual Research Report
多就業農業の存立形態とその農村コミュニティ維持機能に関する地理学的研究
Project/Area Number |
13680079
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
山本 充 埼玉大学, 教養学部, 助教授 (60230588)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊地 俊夫 東京都立大学, 理学研究科, 助教授 (50169827)
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Keywords | 多就業農業 / 工業化 / 都市化 / 農村コミュニティ / 持続性 |
Research Abstract |
農業と農外就業を家族内で分担する多就業農業の実態とその地域的展開を明らかにすることを目的とした。まず、兼業や多就業農業に関するこれまでの議論と調査研究成果について収集整理した結果、ヨーロッパではこれまで以上に様々な研究分野で、また、地域・農業政策遂行の上で、多就業農業に注目が集まり、とりわけ山間地など条件不利地域で多就業農業が成立していること、さらにその実態把握が要請されていることが明らかとなった。また、多就業農業が日本やヨーロッパなど工業化・都市化の進展した地域ばかりでなく世界の広範囲の地域に成立していることも明らかとなった。工業化が今日進展しつつあるタイを事例として検討した結果、農外就業の存在が今日のタイ農業を特徴づける重要な要素の一つであること、そして多就業農業がバンコクなど大都市周辺で成立していることが明らかとなった。そこでは農外就業の存在が、現金収入を確保するとともに、農業への資本投下を可能とし、安定した作物収量を維持することに貢献していた。すなわち、多就業農業の採用を通して、農民は農村外へ流出することなく生活を維持することが可能であり、農村コミュニティが持続的に維持されることが示唆された。ここにおいて、工業化・都市化の進展が多就業農業成立の背景として考えられたが、工業化・都市化の進展地域全てにおいて多就業農業が成立しているわけではなく、自然条件や教育水準など他の要素を含んだ地域ポテンシャルを考慮する必要が認識された。
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Research Products
(1 results)