2001 Fiscal Year Annual Research Report
九州地方における明治期〜昭和前期の農業開拓に関する地理学的研究
Project/Area Number |
13680083
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
出田 和久 奈良女子大学, 文学部, 教授 (40128335)
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Keywords | 開拓 / 開墾助成法 / 移住 / 九州 / 昭和前期 / 耕地整理 / 土地改良 |
Research Abstract |
本年度は開墾助成法の施行時期を中心に、九州南部の鹿児島・宮崎・熊本・大分の各県を研究対象地域として各県庁・県立図書館・文書館および農林水産省九州農政局において基本資料がどの程度残されているか、また利用可能かについて調査を行った。その結果当該関係資料の一次資料については一部分を除いてはほとんど保存されていないことが明らかとなった。このようなことから、開墾助成金の交付を受けた地区に関して一次資料によるデータベース化は相当困難な見通しとなった。また、県史や市町村史等の地方史誌類について関連事項の記載の有無を調べたが、簡単に概要に触れるくらいであり、一次資料によると見られる詳細な記述は皆無であった。 そこで、調査を各開墾助成地区に絞り、開墾地移住が大規模に行われた大分県直入郡荻町、鹿児島県鹿屋市の笠野原台地および小規模な宮崎県児湯郡の一部地区について、市・町役場および土地改良区等での開墾助成地区に関わる資料所在調査と現地聞き取り調査を実施しつつある。現在のところ、このうち荻町の荻柏原土地改良区でのみ開墾助成金交付に関わる一次資料を発見できたが、他の地域では困難なようである。特に、移住者の出身地については一次資料が無く把握できないことが明らかとなり、事例的に荻柏原土地改良区において聞き取り調査の実施を計画している。資料をめぐる以上のような状況から、当初計画していた移住者の出身地や入植の動機等基礎的なデータの収集は調査可能な事例地区についてのみとならざるを得ない。 また、開拓農民の日記を筆耕、整理し、記載内容をデータベース化する作業を行っており、この日記を資料として時間地理学的な視点から分析し、開拓農民の行動空間とその特質を究明するべく準備を進めている。
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