2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13680105
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
鈴木 毅彦 東京都立大学, 理学研究科, 助教授 (60240941)
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Keywords | 東北日本 / 広域テフラ / 大規模火砕流堆積物 / 第四紀 / 八甲田火砕流堆積物 / 古地磁気層序 / 上総層序 / 化学組成 |
Research Abstract |
本研究の目的は,従来あまり注目されてこなかった東北日本の大規模火砕流堆積物に起源を持つ広域テフラを見出し,高精度第四紀編年に役立たせようとするものである.具体的な調査研究内容は,給源地域と遠隔地の模式テフラ試料を収集し,それらの岩石記載的特性を室内分析において明らかにしてゆくことである.平成14年度に行った研究実績の概要は以下のとおりである. (1)前年度に青森県八甲田地域において新たに見出された火砕流堆積物について,古地磁気学的調査を行なった.これは従来知られた八甲田第1期火砕流堆積物が広域テフラを伴い,それらの層位が中期更新世初頭のブルンヌ-松山古地磁気境界直上に位置することが判明したことにより,八甲田地域の火砕流堆積物の古地磁気層序を再検討する必要性が生じたためである.その結果,八甲田第2期火砕流堆積物が正帯磁,八甲田第1期火砕流堆積物の下位に位置する八甲田第0期火砕流堆積物と黄瀬川火砕流堆積物が逆帯磁であることが判明した.この結果は八甲田第1期火砕流堆積物に伴う広域テフラの認定を支持するものである. (2)これまでに採取した房総地域に分布する細粒ガラス質火山灰と東北日本各地の火砕流堆積物の化学組成を新規測定ないしは再測定して整理し,類似する組み合わせがないかを検討した.これまでのところ,北海道を給源とする火砕流堆積物に対比されうる細粒ガラス質火山灰は検出されなかった.八甲田地域の黄瀬川火砕流堆積物は房総半島の梅ヶ瀬8テフラと類似することがわかった.しかし白河地域の芦野火砕流堆積物も梅ヶ瀬8テフラと類似する.これらの組み合わせではいずれも2つ程度の成分の重量比が若干異なり,どちらの対比が成り立つか,あるいはいずれも成立しないのか,現段階では判断できなかった.これは今後の検討課題である.
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Research Products
(1 results)