2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13680107
|
Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
大内 俊二 中央大学, 理工学部, 助教授 (00185191)
|
Keywords | 横ずれ断層 / 屈曲河川 / 河川縦断形 / 屈曲修正角 / 断層変位 / 変形タイプ |
Research Abstract |
今年度は、方位計を組み込んだ斜面測量器を用いて横ずれ断層を横切る屈曲河川の縦断形と流路方向を計測することを中心に研究を進めた。 断層運動による河床縦断形の変形は3つのタイプに分類できる。タイプAは断層の縦ずれ横ずれ比(So=Δv/Δh)が河床勾配(Sc)よりも小さい場合、タイプBはほぼ同じ場合、タイプCはこの比が河床勾配より大きくなる場合である。断層の方向と屈曲部の流路がなす角(屈曲修正角、θ)は、河川の適応が進むとともに大きくなると考えられているが、変形河川は、SoとScから決定される最大勾配流路(変形タイプによってθの範囲が異なる)を目指して側方移動するとしたほうが考えやすい。河川が断層に対してλの角度をとる場合はθをθ'(=θ-λ)に置き換える必要がある。また、河床縦断形は適応が進むと滑らかになると思われるが、水路実験の結果から流路の屈曲が下流の下刻と上流の堆積を促すことが予想され、変形のタイプによっては滑らかな縦断形とはなりにくい場合があると考えられる。 米国カリフォルニア州南部で計測したサン・アンドレアス断層を横切る屈曲河川は、平野を切る比較的新しいガリーと丘陵を刻む谷中のものに分けることが可能であった。前者では断層による水平変位量(Δh)と断層より上流の流域面積(A)がきれいな相関を示すのに対して、後者ではθとΔhの間に高い相関が見られた。日本国内で計測した屈曲河川はこれらの相関は全く見せないが、θとλの間に明らかな相関が見られた。これらの事実は、断層運動による変位と河川の反応に、河川と流域の発達、断層と斜面傾斜の方向などの要素が関係していることを物語っており、屈曲河川の変形タイプとともにこれらの相関関係を詳しく分析することによって断層運動と河川の発達について新しい知見が得られる可能性がある。次年度はこの分析を中心に研究を進めるつもりである。
|
Research Products
(1 results)