Research Abstract |
障害児が学校を卒業し,職場等において実際に社会生活を送る上で,またノーマライゼーションを主体的に捉え生活するためにも,服装に関するルール,マナーおよびスキルを身につけていることは重要である。そこでまず保護者および子どもを対象に衣生活の実態調査を行った。さらに,その調査から得られた結果に基づいて,衣生活に関わる授業実践を試み,障害児の自立支援について検討した。 1.知的障害児の衣生活に関する実態調査 調査期間:平成16年11月,調査対象:福島市内養護学校中学部・高等部の生徒の保護者(一部,生徒自身),調査方法:留置法,回収率:86.1%(配布数36部),主な質問内容:保護者へ→子どもが日常着用している衣服の種類,購入時の留意事項,子どもの衣服に関わる自立の程度,社会に出るまで身につけてほしいこと。子どもへ→自分の好きな衣服について,着てみたい衣服について,衣服について学びたいこと。主な結果:日常生活において「衣服の着脱」「衣服が汚れたり汗をかいたときに取り替えること」については,子どもの多くが一人でできるということであった。一方,「目的や季節・天候にあった服装をする」など,経験の積み重ねを必要と高次の判断が求められる事柄については保護者の援助が必要とされていた。また,これらは社会に出るまでに必ず身につけてほしいという回答者も多かった。 2.衣生活における自立を支援する授業の試み 実施時期:平成16年12月,実施場所:福島市内養護学校(調査対象校),実施対象:高等部2・3年生(男子9名,女子6名),授業内容:授業時間は約90分であり,次の3部構成とした。(1)きれいにおしゃれをしよう(2)ファッションを自慢しよう(3)洋服のラベルについて学ぼう。同じ年代の生徒同士で学習し合うことにより衣服に関する関心が深まり,自己表現や自立に対する意欲の向上を確認することができ,今後の支援のための示唆が得られた。
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