2002 Fiscal Year Annual Research Report
生活騒音が居住者に及ぼす生理的心理的影響と住宅性能表示への適用
Project/Area Number |
13680117
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
岩重 博文 広島大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (20034390)
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Keywords | 床衝撃音 / 集合住宅 / 内外室間音圧レベル差 / 軽量床衝撃 |
Research Abstract |
本研究では,日常生活に係わる生活音を調査し,問題となる可能性のきわめて高い,床衝撃音などを具体的に取り上げ,これらに対する今後の室内音改善のための考察を試みた。床衝撃音の軽減に関する対策については改善方法を検討した。住宅内での生活音については,住宅の外部からその内部に伝搬してくる騒音についてこれらを調査した。対象とする高層集合住宅内で実際に聞かれる生活音を実測調査し,生活音の大きさやその発生頻度などを検討した。また同一集合住宅内で,住民に対して生活音についてのアンケート調査を実施している。これらにより生活音の実態と住民意識との関連の考察を行った。 また,これらの研究の方向は住宅性能表示制度に反映させるものである。このため,世界各国の住宅性能に関する制度の現状を把握するための調査をまず行った。これらによると日本独自の制度や日本ではまだ使用されていない制度がみられた。音の問題では,開口部の空気伝搬音に対する遮音についての性能規定は日本独自のものである。室内の空気音については,室内の全体的静けさで評価する方法と界壁の透過損失(内外室間レベル差)で評価する方法とがあり,日本の規定は後者の方である。床衝撃音については,タッピングマシーンによる軽量床衝撃とハングマシンによる重量床衝撃とがある。靴歩行を評価対象にする軽量床衝撃は多くの国で採用されている。しかし,素足歩行および床上の飛び跳ねを衝撃源とみなす重量床衝撃の評価規定はライフスタイルの相異から生まれた日本独自のものである。その他の住居環境要素の光環境について,日本では開口率や方位別開口比が扱われているが,他の国にはあまり見られない。一方,ヨーロッパでは輝度の規制があり,日本ではまだ扱われていない領域である。
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