2001 Fiscal Year Annual Research Report
乳幼児期における望ましい食生活の習慣づけに関する理論的・実践的研究
Project/Area Number |
13680138
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Research Institution | Nakamura Gakuen College |
Principal Investigator |
林 辰美 中村学園大学, 家政学部, 助教授 (40149646)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
城田 知子 中村学園大学短期大学部, 食物栄養科, 教授 (80069781)
本間 学 中村学園大学, 家政学部, 助教授 (40209341)
伊東 るみ 中村学園大学, 家政学部, 助手 (40291835)
稲益 建夫 中村学園大学短期大学部, 食物栄養科, 教授 (70127976)
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Keywords | 乳幼児 / 食生活 / 乳幼児健診 / 生活習慣病予防 / 栄養教育 / 乳幼児食のデータベース化 |
Research Abstract |
本研究は、追加採択により、研究の着手が平成13年11月となったため、研究の規模を縮小し、幼児期の食習慣と栄養摂取状況に関する実態調査を実施し、そこで得られた成果の概要を以下に示す。 目的 健康的な生活習慣の基礎づくりは乳幼児期から開始することが望まれる。食習慣を包含した生活習慣の基礎を定着させることは、生活習慣病一次予防としての課題と考える。本研究では幼児の食生活を中心とした生活習慣と栄養摂取状況についての実態調査を行った。 福岡市H保健所管内の保育園の3歳男女児を調査対象とし、園児の保護者に対して、2001年11月中旬に、食生活を主に日常生活に関する調査と秤量法による食物摂取状況調査(通園日1日)を依頼した。身長、体重は3歳児健診の測定値と毎月園で実施している値を用いた。分析対象は、すべてのデータがそろっている168人(男児:93人、女児:75人)である(有効回答率95.7%)。身長、体重を全国平均と比較すると全国平均をやや上回る値を示していた。カウプ指数は男児15.6±1.1、女児15.5±1.2と男女児間に差はなかった。エネルギー摂取量は男児1645±322kcal、女児1595±306kcalで、第六次改定栄養所要量(食事摂取基準)と対比して良好であった。その他の栄養素等を所要量または目標量に対する充足率でみてみると、たんぱく質、脂質、食塩(目標量:7g未満)が120%以上の過剰摂取、ビタミンC、食物繊維が80%以下の摂取不足傾向がみられた。とくに食物繊維は男児5.5±2.5g/1000kcal、女児5.8±2.6g/1000kcalであり、極めて低い充足率であった。食生活を中心とした生活習慣の得点の平均値は15.5±2.1点であり、生活習慣の定着の高いH群はすべての栄養素等充足率がL群を上回っており、エネルギー、カルシウム、鉄、ビタミンB_2、ビタミンC、食物繊維で良好な充足状況が認められた(p<0.05)。またH群は1000kcalあたりの淡色野菜、乳・乳製品摂取量が有意に高値を示し、菓子類、嗜好飲料摂取量が有意に低いことが認められた(p<0.05)。食習慣を主とした日常の生活習慣の得点を目的変数とし、栄養素等充足率、1000kcalあたりの食品群別摂取量を説明変数として重回帰分析をすると、カルシウム、味噌、淡色野菜が正に回帰され(標準化回帰係数:0.170,0.250,0.123)、嗜好飲料と菓子類が負に回帰された(標準化回帰係数:-0.185,-0.154)。重相関係数は0.496(p<0.001)であった。好ましい食習慣の定着と適切な食品摂取の関連が明らかとなった。さらに説明変数に食習慣の項目を加えて数量化I類分析を行うと、「朝食」、「間食」喫食習慣、「朝食」、「夕食」時間帯の規則性、味噌、油脂類、嗜好飲料摂取量との関連性がみられた(寄与率は66.1%(p<0.001)。幼児の生活習慣要因としては、朝食喫食習慣、食事の規則性、バランスのとれた栄養充足状態、適切な食事摂取などがあげられ、それらとの関連性が示唆された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 伊東るみ, 林辰美: "幼児の食行動と健康に影響を及ぼす要因 (第3報)-生活習慣と食生活の関連性の検討-"保育と保健. 8・1. 101-102 (2002)
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[Publications] 林辰美, 伊東るみ, 二宮正幸, 伊藤雄平: "高校生の肥満,血圧高値者における食生活,生活習慣ならびに疲労自覚症状について"栄養学雑誌. 60・2. 91-95 (2002)