2003 Fiscal Year Annual Research Report
生活設計における高齢出産に関する家政学からの研究…九州地域の高年齢助産婦の聞き取り調査-
Project/Area Number |
13680141
|
Research Institution | Koran Women's Junior College |
Principal Investigator |
後藤 直子 香蘭女子短期大学, 被服学科, 助教授 (60290623)
|
Keywords | 助産婦(師) / 助産所 / 助産院 / 九州 / 出産 / 聞き取り / 生活設計 / 高齢出産 |
Research Abstract |
本研究は、以下のようにまとめられる。(1)九州での高齢助産師(婦)で今も現役で活躍している者は少なからずいる(2)しかし(電話帳で助産院となっていても)出産という場からは引退し後進の育成教育や妊産婦の相談を受け助言を行なうことや、市などからの要請で地域活動を行なうものの方が多い(3)どの地域においても高齢助産師と妊産婦の関係は親子や親類のような関係で、安心感で繋がっているように見受けられた(4)その安心感がリラックスした状態に繋がり、出産に繋がるようである(5)助産師は医療行為を行なわないので会陰切開などは行なわない。裂傷そのものもお産をゆっくり行なう事でほとんどないし、裂傷しても自然治癒で治る程度の軽いものである事も判った。ゆっくり時間をかけて、勿論、助産の経験でその時間のかけ方もあるようだが、我慢しながら産むことの方が、その後の経過からすると良いとの証言が得られた(6)高齢出産については,多くの助産師は普通の出産と変わりない。「産める事は元気な証拠。しかし塩分等は控えめにするなどの助言が得られた(7)高齢出産のデメリットはデータ(統計等)通りに解釈した方が良いとの見方もある一方、データを気にする必要なしとの意見もあった(8)取り上げた高齢出産の人の中には50代の人もいた。結婚が遅くて子が生まれる場合は自然分娩で産まれているものがあった(9)その地域全体の出産に関わった助産師もいた(10)多くの助産師の表情は生き生きと自信に満ち溢れており、その全てが助産をするときに実際に命を取り上げ、その母親を亡くしたことがないのを誇りにしている(11)これらの助産師が取り上げたお産の数は数千から1万人以上に達し、その技術・知識・智恵は計り知れない(12)しかし、このような開業助産院が年々消えていっている現状をみるのは大変惜しい。妊産婦や全女性にとっての出産場所の選択肢を狭める事に繋がると思われる。今後もこの調査を続けていく事が高齢出産をする人だけでなく出産する人々に大いに役立つ研究となると思われるので続行する予定である。平成13年度は佐賀県下の3名の高齢助産師に、平成14年度は大分県内の17名(1名は高齢ではない)に聞き取り調査を直接行うことが出来た。平成15年度は宮崎や沖縄の助産婦師に接触を続けており、その積み重ねで得られた結果が上記のとおりとなる。福岡県でも支部長ともかかわりを持つことが出来たが、今後深く、聞き取り調査続行に繋げたい。尚、平成15年度には、以上の結果の一部を家族関係学部会(京都)や日本家政学会九州大会(福岡)において発表し、紀要や研究論文集で論文を2本発表した。詳細は本研究の報告書を参照されたい。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] 後藤直子: "九州地区における高齢助産婦による聞き取り調査"第23回家族関係学部会セミナー自由報告発表要旨. 19 (2003)
-
[Publications] 後藤直子: "九州における高齢助産婦の聞き取り調査(その2)"第50回日本家政学会九州支部大会. 16 (2003)
-
[Publications] 後藤直子: "九州に置ける高齢助産婦(師)の聞き取り調査"香蘭女子短期大学研究紀要. 第46号. 213-225 (2004)
-
[Publications] 後藤直子, 赤星礼子: "九州に置ける高齢助産婦(師)の聞き取り調査(佐賀県)"佐賀大学文化教育学部研究論文集. 第8集・第2号. 209-218 (2004)