2001 Fiscal Year Annual Research Report
調理過程における抗酸化物質の挙動に関する基礎的研究
Project/Area Number |
13680155
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
菊崎 泰枝 大阪市立大学, 大学院・生活科学研究科, 講師 (60291598)
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Keywords | 加熱調理 / 抗酸化物質 / 香辛料 / 油脂加熱酸化 / カレーリーフ / ナンヨウザンショウ / カルバゾール |
Research Abstract |
本研究は、食品に含まれる抗酸化物質の加熱調理条件下における消長と変化を追跡し挙動を明らかにすることを目的としている。人類が経験的に食品保存を目的に利用してきた香辛料に着目し、油均一系および水と油が共存した複合系における種々の香辛料抽出物の酸化抑制効果を比較的高温(90〜110℃)と低温(40℃)において調べた。その結果、ほとんどの香辛料抽出物が40℃において強い抗酸化活性を示したのに対し、高温条件において強い抗酸化力を有する香辛料抽出物は数種に限られた。本年度は、油均一系高温条件下で抜群の効果を示したカレーリーフに着目した。カレーリーフはナンヨウザンショウ(Murraya koenigii)の葉で、東南アジアにおいて炒め物やカレーなどの煮込み料理の香り付けに食材に対して1〜10%(生葉)添加されている。ホールおよび粉砕した乾燥カレーリーフを用いて最もシンプルな加熱条件として油脂を110℃で加熱したときの油脂の酸化安定性をまず調べた。その結果、ホールリーフの0.1%添加で酸化誘導期が試料無添加の油脂に対して1.4倍、1%では4.0倍に延長した。粉砕葉の場合はさらに効力の向上が認められ、0.1%添加で酸化誘導期が2.9倍、1%では12.2倍延長し、粉砕によってカレーリーフに含まれる抗酸化物質が効率よく油脂に抽出されたと考えられる。次にカレーリーフの抗酸化物質を特定するために極性の異なる各種溶媒を用いてカレーリーフの抽出を行い、強い抗酸化性を示した低極性抽出物を各種クロマトグラフィーによって精製し、10種の化合物を単離した。機器分析により単離物質はいずれもカルバゾール骨格を有することが判明し、さらに単離物質の抗酸化活性を調べたところ数種のカルバゾールに高温加熱下の油脂の酸化誘導期延長効果が認められ、カルバゾール類がカレーリーフの抗酸化力に寄与していることが判明した。現在カルバゾールの加熱条件下における挙動を追跡している。
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