2001 Fiscal Year Annual Research Report
修飾乳製カゼインの消化により生成される生理活性ペプチドの構造決定
Project/Area Number |
13680162
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
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Keywords | カゼイン / 修飾カゼイン / アミノ・カルボニル反応 / ペプチド |
Research Abstract |
食品タンパク質の消化により、数多くの生理活性ペプチドが生成することが知られている。本研究はモデル実験として、未修飾およびグルコースによって修飾されたカゼインを用い、消化酵素により消化して生成したペプチド類について比較検討を行った。 まず、純粋なβ-カゼインを得るために、新鮮な生乳を脱脂してから、酸および尿素で分離・精製し、電気泳動法により純度約99%のβ-カゼインが精製できたことを確認した。次にこのカゼインをグルコースと共に1:2(重量比)の割合で50℃、RH75%の条件で反応させた後、流水透析(4℃、3日間)し、凍結乾燥後、修飾カゼイン試料とした。この修飾カゼインのアミノ酸を分析した結果、リジン残基の約50%が修飾されたことが分かった。さらに、これらのカゼインをペプシン・パンクレアチンで加水分解した後、分子量3,000KDa以下、3,000〜10,000KDa、10,000KDa以上に分けた。その結果、修飾カゼインの各ペプチド画分の収率はそれぞれ、75%、5%および19%であり、低分子画分(分子量3,000以下)は未修飾に比べ、約20%減少した。即ち、グルコースの修飾によりカゼインの加水分解率は若干低くなった。また、HPLCで分析した結果、未修飾および修飾カゼインの分子量3,000以下のペプチドパターンに明確な差が認められた。未修飾β-カゼインからは8種類の特異的なペプチドの生成が確認された。また、修飾β-カゼインからは3種類の特異的なペプチド生成が認められた。この結果から、β-カゼインがグルコースの修飾を受けたことによって、消化酵素のペプチド結合の切断作用に変化が生じ、異なるペプチドが生成したと考えられる。これまでに13種類のペプチドの構造が決定され、これらのペプチドはほとんどが10個以上のアミノ酸で構成されたものであった。また、β-カゼインの修飾により、血圧降下作用を示すアンジオテンシン転換酵素阻害ペプチドの生成が減少することも明らかになった。
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