2003 Fiscal Year Annual Research Report
大学女性選手の食物摂取状況と鉄欠乏性貧血発現状況の経年変動に及ぼす食事指導効果
Project/Area Number |
13680163
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
川野 因 東京農業大学, 応用生物科学部, 教授 (80277681)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笹本 重子 日本女子体育大学, 体育学部, 助教授 (40267315)
石崎 朔子 日本女子体育大学, 体育学部, 教授 (80070605)
佐藤 文代 十文字学園女子大学, 人間生活学部, 教授 (40122965)
西山 由隆 東京農業大学, 応用生物科学部, 助手 (40328547)
本間 和宏 東京農業大学, 応用生物科学部, 講師 (00190273)
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Keywords | 新体操選手 / 食事介入 / 鉄欠乏性貧血 / 大学女性 / 減量期 / 栄養素摂取量 |
Research Abstract |
大学女性新体操選手10名を対象に、2年間にわたり、体重、体脂肪率、鉄欠乏性貧血発現状況および食物摂取状況調査を追跡した。3年目の今年は介入前後のデータ整理をすることを目的とした。 一年目、特別な食事介入を行わない条件下では、(1)年間を通して減量志向があるが、空腹時の体重増減幅は年間最大5kg。 (2)減量期は水だけで生活することもある。 (3)食生活上の問題点として、重量の軽いスナックやチョコレートを好む傾向が強い。 (4)トレーニング休止期でも半数の選手に潜在性鉄欠乏性貧血が出現する。 (5)潜在性鉄欠乏状態や鉄欠乏性貧血発現者は試合前減量期で7割に達する。ことが明らかとなった。 そこで、二年目、試合前期の減量期に一日あたりの鉄摂取目標量を15mg、エネルギー摂取量を1500kcalとして、1ヶ月間の食事介入を行った。その結果、(1)減量期の体重および体脂肪率、BMIは減量前期と比較して有意に低下した。 (2)一年目の選手の食生をみると、エネルギー、たんぱく質、炭水化物などのエネルギー源栄養素に加え、ビタミンやミネラル類摂取量は成人女子所要量と比較して低値であり、年間を通してあまり変動しないのに対し、食事介入はエネルギー摂取量には有意な差が見られなかったものの、たんぱく質、カルシウム、鉄、亜鉛、銅、ビタミンA、E、K、B1、B2、B6、B12、および、ビタミンC摂取量が有意に増加し、脂質摂取量は有意に低下した。 (3)介入は選手の改善に有効であったが、完全な予防には繋がらなかった。 (4)食事介入により、介入期のハプトグロビン濃度の有意な低下が見られた。 このような実験結果より、鉄欠乏性貧血発現予防に、食事介入は有効であったことが示唆された。また、食事介入により増加した運動量に対応するための更なる栄養素摂取基準が必要である。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] H Kawano, S Honma, A Honma, M Horie, Y Kawano, S Hayashi: "Melanin-concentrating hormon neuron system : the wide web that controls the feeding"Anatom Sci Int. 77. 149-160 (2002)
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[Publications] J Kobayashi, C Seiwa, Y Kawano, H Asou: "Effect of a traditional Chinese herbal medicine, Ren-Shen-Yang-Rong-Tang (Japanese name ; Ninjin -Youei-To),on oligodendrocyte precursor cells from aged-rat brain"Inter.Immunopharmacol. 3. 1027-1039 (2003)
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[Publications] 川野因, 石崎朔子, 笹本重子, 加藤(樋口)陽子, 小林修平: "Effect of meals with milk on body iron stores and improvement of die tary habit during weight loss in female rhythmic gymnasts"J Nutr Sci Vitaminol. 48. 395-400 (2002)
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[Publications] Y Kawano: "Seasonal changes in the ALAD activity and osmotic fragility of red blood cells in female athletes"2002 Busan Asian Games Sport Science Congress. 198-203 (2002)
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[Publications] 川野因, 渡嘉敷晶子, 西村佐喜子, 梶本雅俊: "A single bout of exercise on a cycle ergometer enhances the biosynthesis of red blood cells."日本女子体育大学紀要. 32. 87-93 (2002)
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[Publications] Y.Kawano, A.Tokashiki, Y.Mekata, et al.: "Effect of body iron stores on indices of biosynthesis and destruction of red blood cells after a single session of cycling exercise"体力科学. 51(2). 225-234 (2002)
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[Publications] 笠原賀子, 川野因 編著: "栄養科学シリーズNEXT 栄養教育論"講談社. 156 (2003)