2001 Fiscal Year Annual Research Report
加熱調理において食材に現れる状態変化の巨視的および微視的観察
Project/Area Number |
13680168
|
Research Institution | Bunkyo University Women's College |
Principal Investigator |
長尾 慶子 文教大学女子短期大学部, 教授 (20217970)
|
Keywords | 食材系 / 相転移 / デンプンの糊化 / 微視的観察 / 熱移動現象 / 静的弾性率 |
Research Abstract |
科学研究費補助金による平成13年度(初年度)当該研究実績の概要は、以下のとおりである。 1.状態変化観察用食材成分の選択:加熱による食材成分の状態変化を観察するための対象として、デンプン粒子の糊化、寒天およびゼラチン各ゲルのゾル転移、高融点の脂質を含有する油脂系とその乳化系の融解、および鶏卵白の熱変性による凝固の問題を取り上げた。 2.観察の方法と試料の調製:食材系内部の熱移動経過や系全体のレオロジー的性質が、系に含まれる成分の状態変化に影響される状況を調べた(巨視的観察手段)。これに対し、成分そのものの加熱による糊化、転移、融解等を位相差顕微鏡により直接検鏡する方法を試みた(微視的観察手段)。したがって、各々の観察手段に適合する食材試料系の調製法を検討し、媒質部分の増粘化によるデンプン粒子の沈降抑制や、マーカーによる転移現象の検鏡効果等を試験した。 3.食材内部の熱移動:既設の加熱装置を用い、食材成分の状態変化にともなう熱の出入りが食材内部の熱移動に与える影響を観察し、多糖やタンパク質の相転移、あるいは脂質の融解に基づき、吸熱現象により成分量に応じて食材内部の温度が低下する経過が確認された。 4.食材系全体のレオロジー的性質:既設のクリープ測定装置の試料保持部に温度制御装置を設け、加熱により食材系全体の静的弾性率が変化する状況を追跡した。米およびとうもろこしに由来するデンプンの場合、糊化に伴う弾性率の増加は著しいが、さらに80℃以上の温度でデンプン分子の構造変化による弾性率の一時的な低下が観察された。 5.光学顕微鏡周辺装置の整備:既設の位相差顕微鏡の試料台に温度制御装置を設け、加熱により食材成分の状態に生じる変化を映像として記録するために必要な周辺装置を整備中である。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] 長尾 慶子: "世界の食料危機の要因と日本の食生活"家庭科教育. 75巻6号. 39-44 (2001)
-
[Publications] 長尾 慶子: "加熱調理における食材成分の相変化"文教大学女子短期大学部研究紀要. 45巻. 7-14 (2002)
-
[Publications] 大久保洋子, 長尾慶子: "家庭における料理技術に関する研究(その2)"文教大学女子短期大学部研究紀要. 45巻. 89-96 (2002)
-
[Publications] 石川洋子, 長尾慶子他5名: ""食"と人間-"食べ物"をとおして人間の生き方を探る-"ライフデザイン研究会平成13年度報告書. 3号(予定). 1-9 (2002)